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永島徹の「風」の贈り物

何気ない支え合いから育まれる、地域「ふくし」※

 ある日、一人暮らしのBさん宅を訪問する際、事前の電話での会話です。
 ――もしもし、「風の詩」の永島ですが……
 Bさん「はぁどなたですか? 申し訳ないですけれど、あのぉ~私もこの歳なので分かりませんの……それじゃごめんくださいね。ブツ。ツーッツーッ」
 と電話が切られます。いつものことですが、電話をかける前に、話す内容の準備をきっちりしていないと、タイミングを外されてしまいます。「今日もさすがだ!」と感心してしまう反面、ひとり受話器を持っている私……

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 Bさんは最近、認知症専門医による診察で長谷川式8点、アルツハイマー混合型認知症と診断されました(診断結果がすべてではないことを加えておきます)。たくましく一人で暮らし、地域を支えている!?。近頃は、町内会費を集めている班長をも追い返してしまうほどになり、「これならオレオレ詐欺どころか、下手に騙そうとして近づく不心得者はタジタジだよ」と、町内住民が感心してしまうほどです。
 私は再び、Bさんの『思い』に届く言葉で電話をします。すると、
 「あ~っ、あなたね。近頃は変な電話が多くて困ってしまうのよ」
 (それって、さっきの私の電話のこと?)
 「お待ちしていますから、気をつけていらしてださいね」
 最近はBさんの認知症による変化が近所にとって非常に心配の種になっています。しかし、地区担当民生委員をはじめ地域の方々はBさんを見守っていこうという意識をもち、「Bさんが散歩のとき危険だから」と、歩道の死角で事故の原因となる路上駐車をなくそうという町内ルールができました。その結果、子どもの歩行の安全も確保され、不審車両対策にもなりました。
 今ではBさんを見守っていくことが近所同士の暗黙の了解になり、町内の結束になっています。当のBさんは、そんなこともつゆ知らず、マイペースな日々を過ごされています。今日もBさんを取り巻く、地域の支え合いが輝いてる町内でした。

つうに らすことのできる あわせ


コメント


 こんにちはぁ、ブログ楽しみにしてまぁす。
 何気ない支えあいから生まれる地域「ふくし」、そうですねぇ、
地域の力って、ホント大切にしたいと思います。
 ところで、最近のCMおねこねこの経験から、
 「あんたまだ、あそこへ行くのは早いよ」って、アリセプト仲間に諭されて、ようやくデイ利用につながった認知症で一人暮らしのおばあちゃんが「わたし、あそこ辞めっから」って…。
 家族は不安がったり、「どうして他人がそんな事言うのよ!」って、悔しがったりしてたけど…、
「まっ、いいかぁ、介護保険使わなくても、ひとまず、閉じこもりは解消したし、新しくお茶飲み友達が出きたし、街の中に居場所も見つかったし、おせっかいケアマネもついてるかんね。」


投稿者: おねこねこ | 2007年06月13日 09:55

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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

【永島徹さんの最新刊】
『必察! 認知症ケア 思いを察することからはじまる生活ること支援』
著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
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