ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
永島徹の「風」の贈り物 2007年06月

私たちの仕事の原点

 Dさん(女性)は息子さんと二人暮らし。息子さんは日中仕事のため、どうしても昼間は一人で過ごさなくてはなりません。そんなDさん、一昨年から認知症状がみられ、これまでどおりの生活に調整が必要になってきました。
 息子さんが考えた末、昨年秋より介護保険の在宅介護サービスを利用します。選ばれた担当ケアマネジャーは、Dさんや息子さんと話し合い、Dさんらしさを大切に考えながら、利用するサービスを提案していきました。



支え合い「安否確認」電話

 「もう8時になるんだけど、まだ迎えにこないんけぇ~っ」と、やや不機嫌そうなCさんからの電話が午後8時に入ってきます。
 私は社会福祉士事務所を開業し、地域密着型認知症デイービスも開業しています。しかもこの事務所は、私たち家族の住まいにもなっているのです。まさに「地域密着すぎ!?デイサービス」。そのため、ひとり暮らしのCさんが、ある理由により見当識障害が出現したとき、その不安に苛まれ、デイサービス利用の迎えコールの電話確認をしてきますが、この電話によるつながりは、Cさんと私たち家族の安否確認電話になっていると、勝手に感謝しています。そこで、その感謝の気持ちを込めながら、私自身がうっかりした雰囲気を醸し出し、会話をすすめていきます。



何気ない支え合いから育まれる、地域「ふくし」※

 ある日、一人暮らしのBさん宅を訪問する際、事前の電話での会話です。
 ――もしもし、「風の詩」の永島ですが……
 Bさん「はぁどなたですか? 申し訳ないですけれど、あのぉ~私もこの歳なので分かりませんの……それじゃごめんくださいね。ブツ。ツーッツーッ」
 と電話が切られます。いつものことですが、電話をかける前に、話す内容の準備をきっちりしていないと、タイミングを外されてしまいます。「今日もさすがだ!」と感心してしまう反面、ひとり受話器を持っている私……



ひとりの「思い」から広がる力(エネルギー)

img0604.gif 活き活きと咲く草花の光景を目にすることができる、とても気持ちのよい季節になりました。先日、訪問先の庭先に『マーガレット』が一面咲いている光景を目にしました。
 ふと、一人暮らしをされていたAさん(女性)の言葉を思い出しました。
 「私ね、朝目覚めると、『今日も生きていたなぁ。それじゃ、今日は何をしていこうか』と毎朝考えて生活しているの。自然の中で生かされていることに感謝して、『誠実』にその1日を生きるようにしているのよ。大変なときもあるけどさ、笑っているほうがいいじゃない(笑)」
 Aさんは長い間、後縦靭帯骨化症を患い、時には身の置き場がないくらい、つらい痛みやしびれを伴う生活をされていました。その思いを、仏壇のお位牌の後ろに貼り付けてある紙に「どうか、このつらさを和らげてください」と辿々しい文字で書き、願っていました。



ページトップへ
プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

【永島徹さんの最新刊】
『必察! 認知症ケア 思いを察することからはじまる生活ること支援』
著者:永島徹
定価:¥1,890(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
nagashimabook.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books