札幌の研修会から
先週、医療福祉センター札幌あゆみの園(社会福祉法人北翔会)の虐待防止研修に講師として参加しました。こちらの利用者は、常に密度の高い医療・療育の必要な「重度心身障害児(者)」と呼ばれる人たちです。したがって、今回の研修会には、相談支援や生活支援にかかわる福祉の支援者だけでなく、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士等の医療スタッフも多数参加しました。
札幌あゆみの園で開催された虐待防止研修会
医療関係者が虐待防止研修に参加することには、はかりしれない意義があります。医療現場は、虐待の発見から心身のケアに重要な役割を果たすだけでなく、虐待につながりかねない兆候を早期の段階で把握して重症化しない手立てを講じるカギを握るところでもあるからです。
そこで、医師や看護師等に虐待防止の視点と実務の理解があるか否かは、地域の虐待対応の水準を左右するほどの意味があると言っていいでしょう。研修会では、医師からの質問を皮切りに、さまざまな質問が寄せられました。
医師からも質問が
札幌あゆみの園は、療養介護・医療型障害児入所施設(昔の重症心身障害児施設)を母体としますが、ショートステイ、居宅介護、移動支援、相談支援などの地域生活支援サービスも多様に提供する事業所です。外来診療はむろんのこと、バーベキューコーナーやステージを備えた「みなくる広場」など、地域社会の重要な社会資源・交流拠点としての性格をもつ開かれた施設です。
研修会の前に、札幌あゆみの園を見学させていただきました。重症心身障害児(者)とは、制度上、重度の知的障害と重度の肢体不自由をあわせもつ児童と成人を指します。札幌あゆみの園では、療養棟を次のような障害の状態像によって分けていました。
一つは、標準的な定義通りの重症心身障害児(者)の療養棟です。もう一つは、肢体不自由の程度は軽くても発達障害を伴う重い知的障害のある「動く重症心身障害児(者)」の療養棟です。そして三つ目は、人工呼吸器をはじめとして多様な医療機器を使用し、常に濃厚な医療的ケアを必要とする「超重症児(者)・準超重症児(者)」の療養棟です。
それぞれの療養棟では、障害の状態像に必要で最適化された取り組みが追求されていました。「動く重症児(者)」の棟では、行動障害を惹起する不必要な刺激を極力低減するため、フロアには物や家具を置かないように工夫されていました。「超重症児(者)」棟は、一人の利用者の周りにたくさんの医療器具が配置されているために「病院的光景」が広がりますが、スタッフの利用者への声掛けや利用者との間柄には「暮らしを支援」するサービスの質をも実感することができます。
入所支援の利用者だけで200名近い人数となり、それぞれに密度の高い医療的ケアが必要ですから、個別支援計画の策定には医師・看護師・PT・OTの知恵と力を結集しなければなりません。それぞれの利用者の投薬・服薬に間違いが起こらないように注意するだけでも大変な努力を傾注しなければならないのです。ここに、交代勤務による引継ぎの注意も加わるのですから、スタッフの皆さんの日々のご苦労には頭が下がります。
あるキー局がやっている「24時間テレビ」なんて年に1回のイベントに過ぎませんが、札幌あゆみの園では、濃密な医療ケアを24時間365日必要とする利用者をケアし続けているのです。この研修会のさなかでも、スタッフ体制の関係から途中で業務に戻らなければならない職員の方がおられました。
それでも、見学をさせて戴いて実感できた点は、多忙な業務の中でもスタッフの皆さんには落ち着き(間違いのない濃厚な医療ケアを実施するために必要不可欠な構えなのでしょう)と朗らかさのあることでした。命と暮らしの重みを受けとめて、和気あいあいと支援する職員の姿勢には(世が世なら、このような重症心身障害のある人たちを支援する施設では「悲壮感」が先立っていたでしょう)、清々しさを感じます。
さて、ここは美味求心の北海道。
まずは、利尻産の馬ふんウニと北海シマエビに舌鼓。これ以上、読者のみなさんを挑発することを避けるために画像は掲載しませんが、実は、毛ガニとプチプチのイクラ丼も戴きました。超旨!!
今回の極めつけは、シシャモの刺し身と握り寿司です。淡白な中に繊細な旨味があり、私にはフグの刺し身に通底する美味しさの幸せが込み上げてきました。北海道出身の学生からは、シシャモは足が速いために現地でしか生食することはできず、「とくにオスのシシャモがおすすめです」と聞いていました。画像の他に、オスのシシャモの焼を頂戴したのですが、これまた絶品です。本州のスーパーで売っている外国産の子持ちシシャモの干物とは、大違いでした。し・あ・わ・せ(笑)
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