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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

地熱発電

 首相官邸周辺で反原発デモが続く中、かねてから私の関心事である地熱発電所を見学してきました。わが国最大の地熱発電を誇る九州電力八丁原(はっちょうばる)地熱発電所です。わが国には、東北と九州を中心に、全部で19カ所の地熱発電所が存在します。

写真1蒸気を取り出す心臓部-気水分離器とフラッシャー

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 地熱発電は、化石燃料や原子力を使うことなく、地下から取り出した蒸気を利用する発電です。マグマ溜まりの熱で高温となった地下水(=熱水のことで、300℃50気圧ほど。石英(二酸化ケイ素)さえ溶ける高温のため、石英が熱水に溶けて徐々に冷やされて結晶したものが水晶。)を蒸気井(じょうきせい)で取り出し、タービンを回して発電します。いうなら、火力発電所のボイラーの役割を地球が果たしているといっていいでしょう。

写真1地熱発電の仕組-九州電力パンフレットより

 蒸気を取り出した残りの熱水は、再び地下へ戻します。熱水が溜まっている地熱貯留層の落盤を防止するためだそうで、環境保護のための技術も一定程度確立しています。

写真3
タービンと発電機

写真4最後に蒸気を冷却して水にする

 この八丁原発電所は1949年から計画され、1977年に1号機が、1990年に2号機がそれぞれ完成しています。地質調査によって、マグマ溜まりの上に適切な熱水の溜まる地熱貯留層が確認できれば、地上に建設する地熱発電システムの技術はすでに確立しているといっていいようです。

 八丁原発電所は、自然ゆたかな九住山のふもとに位置します。6月には山一面にミヤマキリシマの花がほころび、たくさんの野鳥がさえずります。発電所の中を見学のために歩き回っても、いささかたりとも危険を感じるようなことはなく、終始安心していられる点は原発とは丸で違うところでしょう。時節柄、周囲の森のあふれるようなヒグラシの鳴き声がとても印象的でした。

 日本は火山国ですから、環境保護に必要十分な配慮をゆきとどかせつつ、地熱発電は着実に拡大していって欲しいと願っています。地熱の蒸気は安定していますから、風力発電や水力発電と異なり、地熱発電は基盤電力(恒常的に供給できる電力)としての性質を担保しています。化石燃料やウランの輸入に依存することなく、自前でできる限りのクリーンエネルギーへの転換を推進することは、世界中に放射能汚染を広めてしまったわが国の責務ではないでしょうか。

 さて、火山国日本の地熱の有難味は、今後の地熱発電の拡充と発展を願う見地から、肌身で実感する必要があると考えました。

 まずは、八丁原地熱発電所のそばに位置する筋湯温泉。久住高原のトレッキングの後に入ると、また格別の湯です。草津温泉に次ぐわが国第二位の湧出量があるため、溢れるばかりに打たせ湯が注がれており、実に気持ちがいい。

写真5筋湯温泉うたせ湯

写真6打たせ湯に

 この辺りは、九州の中でも有数の温泉地である上に、本州の温泉にはみられない貴重な炭酸泉が点在します。

写真7七福温泉の露天風呂

 あまり知られていない名湯の一つが七福温泉です。ある温泉は「日本一の炭酸泉」などと宣伝していますが、実はこれはまったく当てにならないのです。炭酸の濃度は、温泉の湧出口から湯船に流されてくる間にどんどん気化して下がっていきますから、湯船に到達した炭酸濃度で泉質の良し悪しを判断するべきでしょう。この観点からおすすめの温泉を挙げるとすれば、今回ご紹介する大分県玖珠町の七福温泉と熊本県人吉市の華巻温泉です。

写真8お湯から出る炭酸の気泡

写真9炭酸の気泡は肌にびっしり

 七福温泉の炭酸泉は、お湯の注ぎ口から湯船に入ったところで、まるでサイダーかラムネをコップに注いだときのように、炭酸の気泡が出てきます。5分も湯船に浸かっていると体中に炭酸の気泡がびっしりとつきます。泉温は温く、夏場でも昼寝をしながら長湯できるところがまたいい。

 なるほど、地熱の有難味は、はかりしませんね(笑)。


コメント


これを機会に地熱発電のことを自分なりに調べてみました。
 まず、私も宗澤先生の見解に賛同しています。昨年の3・11による
 世界各国へ対する責任もごもっともだと感じました。
 それをふまえた上で私の見解を論じます。
 私は九州出身です。九州には数多くの温泉地が存在します。
 もし地熱発電が実行されれば九州にも多くの発電所が建設される
 でしょう。外観や温泉の質など不安要素は多々ありますが 
 それをふまえてもやはり原子力発電から撤退するためには
 やむ終えないと考えています。
 地熱発電の技術が完成しているのにも関わらず
 長年に渡り停滞していた原因の大部分は建設費にあります。
 当然国民に負担を強いられるでしょうがどうにか
 実行してもらいたい。
 以上のデメリットさえ克服してもらえば
 地熱発電は公害も発生せず、再生可能なクリーンなエネルギー
 です。また、火山帯である日本にとって常に安定したエネルギー
 なので日本にとって最も適した発電方法だと思います。


投稿者: ばるばる | 2012年12月18日 14:53

私も地熱発電に興味をもっていました。
大学の他の講義で地熱発電の仕組みやメリットやデメリットについて知る機会がありました。
日本は火山大国であり、地熱発電は日本に適していると思います。また、地熱発電はクリーンエネルギーであり、環境を汚染することがありません。
原発事故が起こってしまい、原発廃止が叫ばれてる今、原発を廃止しても電力の供給問題などが起こらないくらいの量のエネルギーを発電できるようにもっと地熱発電が注目され、推進されることを期待します。


投稿者: ちょこ | 2013年01月07日 20:43

私も地熱発電が拡大していってほしいと願っています。東日本大震災による原発事故で日本のエネルギー問題は世界でも話題になりました。日本は火山国であり、原発の代わりになるエネルギーは地熱発電であると考えられます。地熱発電を拡大していくことは、火山国である日本の責任であり、また、それができるのは日本の技術力だけであると思います。
また、私は九州の生まれです。地熱発電によりもっと九州が発展すればと願っております。
日本は今、デフレにより、景気が悪く、企業も事業拡大に慎重で、銀行も融資先に困っている状態です。
国が政策として、支援金を企業に提供し、参加企業を募り、銀行も融資して、地熱発電事業に取り組んでほしいと思います。それによる雇用や景気の回復、ゆくゆくは環境保全につながると思います。


投稿者: 忍者 | 2013年01月23日 10:44

地熱発電とは言葉では聞いていましたがこのブログで初めて地熱発電のことを詳しく知りました。東日本大震災の時に福島第一原発の大事故が起こってから、わたしはどうにか原発はなくならないだろうかと考えていました。わたしは新潟県出身で、柏崎刈羽原発が近くにあることもあって、とても敏感になりつつあります。なので地熱発電のような自然エネルギーを使用した発電を普及させて、いつか日本や世界から原発が廃止されるような未来になったらいいと感じています。


投稿者: ゆずみかん | 2013年01月23日 13:48

 日本にとって地熱のエネルギーはとても関わりの深い物で、日本人は時には火山の活動に脅かされてきましたが、それと同時に日本人ほど温泉が好きな国民はいないのでしょうか。
 原子力発電は確かに強大なエネルギーを生み出しますが、人が作り出した諸刃の剣である事は間違いありません。地熱発電のように、自然の脅威を感じると同時に自然の恩恵にあやかる、そういったスタンスの生き方こそが正に身の丈にあった自然な生き方なのではないでしょうか。


投稿者: ぽち# | 2013年01月24日 11:30

私は東日本大震災に伴う原子力発電所の事故後、さまざまなエネルギー供給方法について議論されているときに地熱発電という発電方法に少し興味を持ちました。しかしどのように発電するのかや日本でできるのかがわかりませんでした。
この記事を読んだことで日本で19か所の地熱発電所が存在していることと、発電技術が確立していることに驚きました。
確かに日本は火山国ですし、地熱を生かしてさらに多くの電気を作ることができるならば、原子力発電にとって代わるエネルギー源になるのではないかと思います。


投稿者: がま | 2013年01月24日 15:32

 この記事を読んで、地熱発電について少し調べてみました。
 地熱発電は化石燃料を使わずクリーンで、かつ安定して電気を供給できる発電法なので、脱原発が叫ばれているいま、原子力発電に代わるものとして地熱発電に注目していきたいと思いました。
 しかし、地熱発電は地震を誘発すると言われています。火山国であるとともに、地震大国である日本が地熱発電を進められるかはこの点を技術的に解決できるのかということが焦点となると思います。


投稿者: クロウ | 2013年01月24日 20:48

 私が小学生のころ、すでに地熱発電は取り上げられ、注目されていた。番組名は忘れたが、テレビ番組で地熱発電について子供でも分かりやすく解説していたことを覚えている。クリーンで環境を汚染せず、なおかつ安定していることがウリで、私は当時、こんなに素晴らしいものがあるなら早く発電所をたくさん作ってしまえばいいのにと思った。あれから十年たち、日本で地熱発電は未だにメジャーなものではないが、それは地熱発電にもデメリットがあるからに他ならない。中でも特に大きな課題はコストである。探査・開発に費用と期間を要すため、初期コストが高くついてしまうのである。しかしそれは裏を返せば、最初に高い費用をかけるだけで安全で安定したエネルギーを得ることが出来るということでもある。最近は費用対効果も向上しており、一度建設してしまえば(熱水の枯渇等の問題はあるにせよ)高いパフォーマンスを維持してくれるようになった。福島の事故から原子力に代わる新しいエネルギーが模索される中、人の安全を金と天秤にかけてはかるのはナンセンスであると私は思う。


投稿者: まつや | 2013年01月25日 05:00

2011年3月11日に起きた原発事故を境に、多くの人が不安にさらされ、放射能という目に見えないものにおびえ、何を信じていいのか分からない日々を送ってきました。そして、そのような不安からどれだけ多くの人と人とのつながりが引き裂かれてきたのでしょうか。原発事故が起こした問題は、放射能による人体への影響や単なる環境破壊というレベルではない、人々の暮らしや人間関係をも大きく変えてしまうものであったということを忘れてはならない、と私は感じています。
地熱発電は原発に変わる代替エネルギーとして有効であるということは、ニュースなどを通して聞いてはいましたが、先生のブログを通してはじめて地熱発電の具体的なところまで知ることができました。化石燃料やウランの輸入に依存することなく、自前でできる限りのクリーンエネルギーへの転換を推進することは、「世界中に放射能汚染を広めてしまったわが国の責務」という先生のお言葉にとても同感します。いつ何が起こるかわからない危険と不安、誰かの犠牲の上に成り立つエネルギーではいけないと思います。
大学の政治学の講義の中で、福島県に住むある人の思いを知り、その人はこれからの生き方についてこのように語っていました。“人類は地球に生きる、ただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物が、他にいるでしょうか。私は、この地球という美しい星と調和した、まっとうな生き物として生きたいです。ささやかでも、エネルギーを大事に使い、工夫に満ちた、豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。”エネルギーは無限ではないということ、その限りあるエネルギーや自然と、どのように私たち人間は関わって生きていくべきなのかということを、今一度考えていく必要があると思いました。そして最後に、原発や代替エネルギーなどへの自分の知識の甘さを改めて思い知りました。日本に住む一人、地球に住む一人として、これからの日本のエネルギーのあり方について自分なりの意見を言えるようにもっと学習していかなければと強く思いました。


投稿者: みかん星人 | 2013年01月25日 11:22

日本の東日本大震災によって、福島原発がメルトダウンを引き起こしてしまったことは大きな問題であり、人災であります。私達は、自分達の手で原因を作っていたとも言えるでしょう。地熱発電が日本におけるメジャーとなり得なかったことには様々な諸事情があったに違いないとは思われますが、私は、環境に配慮し恒常的エネルギー供給が可能な地熱発電に大きな魅力を感じました。災害は天災だけという時代が日本にきてくれるよう願います。


投稿者: アップルパイ | 2013年01月25日 13:47

私がこの記事を読んで目を引いたことは、地熱発電は恒久的に安定した電力を供給できる基盤電力であるということです。今現在の科学技術において原子力発電は確実に将来の世代に負の遺産を残します。今の自分たちの生活を優先するがあまり、自分の子孫たちに負担を押し付ける原子力発電は無責任すぎる。初期設備費用や維持費は問題とされるが、今の世代が負担をして将来の世代に安定した電力という資産を残す地熱発電。もっと普及させていくべきだと思う。


投稿者: 静岡人 | 2013年01月25日 14:03

原発に代わる発電方法が、事故以降多く取り上げられているが、特にこのような国の政策にかかわることは長期的な視点で見ることが大切だと思います。
それこそ原発も国の政策として進められたからこそこれだけ普及したのだから、同じようにこれからの政策として自然エネルギーを取り上げるべきだと思います。日本は新期造山帯にあるためやはり欧州などとは事情が違い原発はリスクが大きすぎる。しかし同時に火山が多くあるためそれをメリットとして利用できる地熱発電は有用だと思う。だから地熱発電が普及していない現状を考え政府が後押しをすべきと考えます。
また現実的に考え、現在みられるような急進的な原発即時中止ではなく、中長期的に原発をなくしていくというエネルギー政策のビジョンを政府は明確にすべきと考えます。


投稿者: からあげくん | 2013年07月17日 02:33

日本には火山がたくさんあります。地熱発電は日本にとって有効な発電方法になりうるのにあまり普及されていない理由を考えてみました。主要な理由としては温泉への影響、温泉地の景観への影響そしてなにより国や地元行政からの支援が乏しいことがあると考えられます。自分も正月に熊本の人吉に帰り温泉地に幾つか行きましたが、豊かな自然が残っており、温泉が自然の一部であるかのように感じました。そこに地熱発電が建設されるとなると、確かに景観が損なわれるのは経験的にも納得できます。しかしあの地震により原発事故が起こり、風評被害、人災も二次的に起こり、今一度発電方法を見直すべきであると思います。3・11により引き起こされた原発事故を見直し、新たな発電方法の可能性を探り、今まで主要であった発電方法のメリット・デメリットを再考えながら、長期的な視点で国の利益となるような発電方法を選択していくべきだと思います。


投稿者: kh | 2014年01月08日 12:46

地熱発電について少し調べてみました。一番の問題点はやはり景観を損なうことのようです。地熱発電所を建設できる火山地帯のほとんどが国立公園に指定されているそうです。そして、どうしても発電所から出る蒸気が景色を悪くしてしまう。そういったことを地域住民に説明し納得してもらうことが必要になると思います。
次に発電所建設までの期間の問題です。建設開始までの準備期間と実際に建設する時間と合わせて11年ほどかかるようです。地質調査で地熱発電にふさわしくなかったらそこで計画は終わりになるのでリスクも大きい。
このようなデメリットもありますが、先生がブログで書かれた通り、地熱発電はメリットもとても大きい発電方法です。このような点を踏まえて議論を進めていくべきではないでしょうか。
以下のURLを参考にしましたhttp://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1308/15/news018.html


投稿者: とっちー | 2014年01月29日 02:27

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
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