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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

元日に「快晴祈願」-5月の金環日食

 明けましておめでとうございます。本年の元旦は5月21日の快晴祈願をしました。
 今年の5月21日(月)は、九州・四国の南部から近畿地方~福島県の太平洋側で、金環日食を見ることができます。金環食の最大時には太陽が金の指輪のように見え、空は薄暮となって星が見えるでしょう。このような幻想的な光景を想像するだけで、もううっとりしてしまいます。

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 この情報は天文ファンなら先刻ご承知でしょうが、福祉専門職の業界ではご存じでない方も結構いらっしゃるのではないかと思い、お知らせすることにしました。子どもたちの施設などをはじめ、ぜひとも行事に組み込んで戴ければと願っています。

 部分日食なら、その他の地域でも全国で観測できます。日本の広範囲な地域で金環日食を見ることのできるのは、1080年12月14日(平安時代)以来のことです。次回に見ることのできる皆既日食はかなり先のこととなり、北海道の2030年6月1日、北陸から関東にかけての2035年9月2日ですから、今年の日食を見逃すわけにはいきません。

 というのも、金環日食は通常(日食の度に世界中の観測可能地点に赴くのでないならば)、一生に一度見ることができるかできないかという、特別に珍しい天体ショーです。月食は数年に一度の割合で見る機会がありますが、日食は滅多に訪れてくれません。しかも、当日に晴れていなければ元も子もないのです。
 そこで、元日には当日の快晴祈願に、特製の照るてる坊主まで作っちゃいました(笑)。

快晴祈願のミッフィー照るてる坊主
快晴祈願のミッフィー照るてる坊主

 実は、今回の金環日食を私は高校時代から待ち望んでいたのです。当時は、「え~っ、2012年まで本州で皆既日食は見れないのか↓」(1987年に沖縄で金環日食があり、その時私は東京で部分日食を見ました)と落胆していました。それ以来、年ごとの天文現象をまとめて毎年の暮に発行される『天文年鑑』(誠文堂新光社)をめくっては首を長くして待ち続けてきたのです。やっと来ました、この時が♪

 今回の金環日食は、午前6時過ぎから食がはじまり(東京6時19分02秒)、午前7時台に食が最大となり(同7時34分30秒)、午前8時30~9時過ぎにかけて食が終わります(同9時02分38秒)。静岡~関東地方では、ほぼきれいなドーナツ状(同心円状)の金環食を見ることができます。

 以前、私は毎日のように太陽黒点の観測と写真撮影をしていた経験がありますから、この機会に日食を見るためのアドバイスを若干しておきましょう。

 この種の珍しい天体現象が訪れる年には、天体望遠鏡や観測機器の業界がここぞとばかりに商戦を繰り広げます。すでにインターネット上では過熱気味の商戦に入っているようですが、高額な機器の購入を考える必要はまずありません。

 食のはじめから終わりまでをじっと眺めたいのであれば、眼の保護のために「日食グラス」(数百円~千円ちょっと)をぜひともおすすめします。板ガラスにろうそくのススをつけたものは、眼の保護には不適切です。

 カメラで撮影される場合は(天体望遠鏡に一眼レフのボディを装着する場合を除く)、たとえば、ケンコー社製のND400(1/400に減光)など大幅な減光フィルターをレンズに装着する必要があります。これを怠ると、適正露出が困難なだけでなく、眼や撮像素子を太陽光の熱で壊しかねません(私は、天体望遠鏡のアイピースに装着する太陽観測専用のフィルターを太陽光の熱で数回割った経験を持っています)。

 今流行のミラーレス一眼レフカメラやコンパクトデジカメは、レンズを太陽の方向に向けるだけで撮像素子に直接太陽光が入りますから、撮像素子が焼けて壊れる怖れがあります。これらのカメラでは食の最大時以外、よほどの心得と用意周到な機材の準備がない限り、撮影はおやめになった方がいいと思います。

 なお、望遠レンズの焦点距離と撮像素子(またはフィルム)上の像の大きさは、フルサイズの場合には焦点距離の1/100の大きさとなります。たとえば、500mmの望遠レンズの場合、撮像素子上の画像の大きさは5mmです。迫力のある画を撮影したいなら1000mm以上の超望遠レンズ(像は1㎝以上)がいいでしょう。APS-Cサイズの撮像素子の一眼レフでも撮像素子上の像の大きさはフルサイズと変わりませんが、見かけ上はフルサイズの場合の1.5倍になります。

 マニュアルレンズでレフレックス500mmF8などをお持ちの方は、2倍のコンバージョンレンズとNDフィルターを装着して撮影に挑まれるのがいいでしょう(天体は撮影上の距離が常に∞になりますから、オートフォーカスである必要はありません)。

 広角~標準レンズでは、太陽を撮影してもほとんど点になるため、撮影した画像をパソコン上で拡大しても、金環食状の画が得られる保証はなく、期待できる画像までには至らないと思います。

 さて、正月早々いささか一人よがりな盛り上がりを吐露した挙句に、当日もし曇ったらどうしよう…。頼むぞ、照るてる坊主! みなさん、どうか5月21日の快晴を祈りましょう!!
 なお、虐待研究一筋を今年の目標とする私としては、5月の金環日食までに、虐待研究の成果を本に出す予定です。こちらもあわせて、どうかご期待ください!!!


コメント


 自然の大きさを前にすると自分のちいささに改めて気づかされ、ふと我にかえらされます。どんな時でも自然を気にかける余裕はもっていたいです。今日は記事を読んでほっとしました。ありがとうございます。先生が長年待ち望んでいる金環日食が見れるように私も祈っています。5月21日が晴れますように。 


投稿者: umk | 2012年01月18日 11:46

わたしも高校時代に学んだことをきっかけに、星座や太陽などの天文分野に興味を持ち始めました。ですから先生の書かれたこの記事を読んで、わたしも金環日食、楽しみに思います♪はじめて天体現象を見たのは12月の皆既月食でしたが、東京某所にいたわたしの周りにはたくさんの上を見上げる人々がいました。そこで思ったのが、このような天体現象の観測なら、どんな人でも同じように宇宙の不思議を感じ、楽しめるのではないかということです。わたしもこの金環日食観測を、福祉施設の行事にもぜひ組み込んでほしいと思います。5月21日、晴れるといいですね。


投稿者: ぽちゃ | 2012年01月19日 13:59

 わたしは、天文学同好会に所属していて金環日食の観測を心待ちにしています。天文学に興味を持ったのは大学からで高校までは天体などについてまったく関心がありませんでした。そのため、まだ天体の知識がほとんどないのでこの記事のようにアドバイスをいただけるのはとてもうれしいです。わたしも5月21日が、晴れになる事を切に願っています。


投稿者: わさビーフ | 2012年01月21日 21:24

私は天体観測というと以前、高校生の頃に木星の輪を観たことや、人工衛星の大気圏突入などを直に観察したことを思い出します。当時の担任が天体マニアで毎日ホームルームで今夜の見所などを教えていただきました。 が、私は自分の手で触って見たり感覚で感じられないものに興味はありません。今でもそうです。受験のために21:00まで勉強をしていた時に突然、校内放送で屋上へ呼ばれて、望遠鏡を除きに行って観た木星はいまでも忘れられません。   たまには空でもみてみます。 


投稿者: ちかもん | 2012年01月25日 00:24

 学業においての天文学は小さいころからあまり得意ではなく、それゆえ興味も持てませんでした。しかし、大学に入ってから友達に無理やり連れだされて見た皆既月食にすごく心をひかれ、気が付けば前回の流星群も進んで空を見上げていました。今回の金環日食は朝ということもあり、多くの児童が見ることができ・これをきっかけとして様々なことに関心を持つように今からお天道様にお願いしようと思います。


投稿者: 僕通 | 2012年01月25日 06:48

少し遅れた時期にコメントしますが、この記事を見て生まれて初めて見た金環日食の感動を思い出したのでコメントさせていただきました。初めて見た金環日食はとてもキレイで自然の大きさを痛感しました。しかし、この記事で述べられているように完璧な準備をしていなかったので、写真などにおさめることは出来なかったです。なので、次回に金環日食を見ることのできる機会があれば、このブログで述べられている事柄を参考に、より素晴らしい金環日食観測を行いたいと思った。


投稿者: 小五郎のおっちゃん | 2013年01月23日 13:47

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
タイトル:『障害者虐待 その理解と防止のために』
編著者:宗澤忠雄
定価:¥3,150(税込)
発行:中央法規
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