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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

条例(案)をやさしい文章にする

 この一週間ほど、さまざまな辞書とにらめっこしながら格闘し続けてきた作業がありました。それは、現在さいたま市議会にかかっている「誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」の簡明版を仕上げる作業です。
 これがなかなか難しい。が、どこかで似たような経験をくぐったたような…

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作業進行中の机-小学生用の国語辞典は必須でした

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 「簡明版」とは「条例をそのまま分かりやすくい文章にしたもの」で、小学生や知的障害のある人に読んでもらうと、条例がひととおり理解できることを目的としています。それは、条例の「解説パンフレット」ではなく、子どもや知的障害のある人にとっても理解可能な「条例そのもの」に限りなく近いものを目指したものです。

 簡明版をつくることになった発端は、障害当事者と市民が参画する100人委員会や条例検討専門委員会の話し合いの中で、障害のある人のすべてが「ふつうに読めば理解できる文章の条例にしてほしい」という強い要望が出されたことにあります。

 実際の条例文は、多義的な解釈をうまず、他の法律との整合性をはかるために、厳密な法律用語を用いた言い回しがどうしても必要となります。
 しかし、この条例は、障害のある人の権利擁護を柱に据えて、子どもから高齢者までのすべての市民がともに地域で安心して暮らすためのものです。その条文が、一部の障害のある人や子どもにとってさっぱり分からないというのは、確かに問題です。

 そこで、条例にある原義を損なうことなく、できるだけ分かりやすい文章で表現したものを公式につくることとなりました。とはいえ、やはりやさしくすることにどうしても限界はありますから、今回はひとまず小学校の高学年であれば、無理なく人権教育の教材に使うことのできる水準を目指しました。

 この作業はまず、ある小学校の先生がとっかかりを作ってくださり、条例要綱の段階(議案の一歩手前のもの)で、さいたま市教育委員会の方や小中学校の先生方が熱心に取り組んでくださいました。そして、条例要綱が議案に仕上がった段階で、私が最後の仕上げをすることになりました。

 とりかかってみると、まぁ~大変! 条例の原文を厳密に分析して理解し、その上で、原文の意味を損なうことなく、分かりやすい用語を使って、分かりやすい文章に仕上げる-それは、私の経験の範囲でいえば、洋書を翻訳する作業とほとんどかわらない手間と労力が必要となりました。

 まず直面した困難は、条例の原文にある概念的な法律用語の中で、言葉を換えても大略意味の変わらないもの、どうしても用語を変えることのできないものを区別する点でした。これが、英語の単語を日本語に訳す作業に近いのです。
 次に、条例原文の構文を変換しなければならない作業の難しさでした。これも、英語と日本語の構文がまったく異なるために、日本語らしい文章に翻訳する作業につきまとう困難とさほど変わりません。

 子どもの権利条約がわが国で批准されたときに、いくつかの民間団体や研究者がこの条約を子どもたちに分かりやすく書き直したものにする動きがありましたが、大変な手間と労力をおかけになったのだということを、今さらながら実感することになりました。
 全文32条に附則のついた条例原文を簡明版にすることに要した時間は、ざっと40時間でした。

 さて、悪戦苦闘の所産の一部として、条例(案)の前文を紹介しておきます。原文と比較してみて下さい。

(1)条例(案)簡明版の前文
 だれもがみな、自分らしく、豊かな生活をおくる権利をもっています。だれもが、自分が決めて選んだことにしたがって、社会のさまざまな活動に参加し、社会のさまざまなものごとをみんなで決めるところに参加する権利をもっています。これらの権利は、だれかに指図されることなく、自分らしい豊かさと幸せをつくっていくものであり、障害のあるなしに関係なく、みんながもっています。
 ある人が、地域生活の中で自分らしく活動し、社会に参加しようとするとき、まわりの誤った考えや理解の不足から、活動と社会への参加が難しくなったとします。これは、障害のあるなしに関係なく、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害です。
 さいたま市は、国際連合の障害者の権利に関する条約の考え方をふまえ、障害のあることを理由にした、さまざまな差別が一切ない社会になることをめざしています。
 さいたま市のめざす社会は、それぞれの人が生まれたときからもっている権利と自由を、障害のある人もない人も、同じように、大切にしあう社会です。市民は、障害のあるなしに関係なく、だれもが基本的人権をもつ社会の一員です。
 ここに、市民が、だれも侵すことのできない基本的人権を大切に守りあうことを通して、それぞれの人のもつかけがえのなさを確かめ、未来にわたって、安心して地域で生活をおくることのできる社会をめざし、この条例を定めます。

(2)条例(案)原文の前文
 誰もが皆、その人らしく、人として豊かに生活をする権利を有している。誰もが、本来、自らの決定及び選択に基づいて社会のあらゆる分野の活動に参加し、及び参画する権利を有している。これらの権利の主体であることは、障害の有無にかかわらない。
 ある人が、障害の有無にかかわらず、地域生活において活動し、社会参加をするに当たって、何らかの不当な制約を受けることがあるとすれば、日本国憲法で保障されている基本的人権の侵害となる。
 本市は、国際連合で採択された障害者の権利に関する条約の理念を踏まえた障害を理由とするいかなる種類の差別もない社会の実現を目指している。
 その目指す社会は、人として生まれながらに持つ権利と自由を、障害のある人にもない人にも同じように認める社会である。市民は、障害の有無にかかわらず、誰もが、基本的人権の主体であって、社会の一員である。
 ここに、市民が、誰も侵すことができない基本的人権の主体として、尊厳をもって、未来にわたって、安心して地域で生活できる社会の実現を目指し、この条例を制定する。


コメント


 条例の簡明版の作成お疲れ様でした。
 ことばの意味を変えずにわかりやすく言い換えるのは本当に大変だったでしょう。。。簡明版はとてもわかり易く、文章が優しいと感じました。

 憲法や法律、条例などどんな人が読んでもわかりやすい簡明版ができていけばいいなと思います。その積み重ねから簡明版づくりのノウハウもできていくのではないでしょうか。


投稿者: YKK | 2011年02月07日 14:02

 本当にご苦労様でした。
 私も一障害者として条例作りに関わらせてもらいましまた。最初はこんなに凄い条例になるとは思っていなかったです。それは私も含めて障害があると言うことだけで言われのない差別を受けて悲しい思いをしてきた仲間達を知っているし体験をしてきたからです。だから宗澤さんには厳しい事も言ってきました。でも宗澤さんの人柄は信じられたからだと思います。
 この条例によってさいたま市がいくらかでも変わり、日本が大きく変わっていく事を期待したいし私の恨みや怨念をいくらか晴らしていただけたと思います。ありがとうございました。


投稿者: 金子和弘 | 2011年03月06日 18:15

条例の簡明版の仕上げお疲れ様です。
みんなが、理解できるような文章を作るのは難しいと思います。
しかし、条例の原文は言葉が難しく理解するのが大変な人がたくさんいると思います。
テレビなどをみていても、原発について難しい専門用語をたくさん使う人がいます。
視聴者のほとんどは理解できてないと感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。
相手に理解できるような言葉で。というのは難しいかもしれませんが、大切だと改めて感じました。
この条例の簡明版にたくさんの人が助けられていると思います。
本当にお疲れ様でした。


投稿者: kym | 2011年05月17日 12:36

 宗澤先生のブログを読んでの感想を書かせていただきたいと思います。
 宗澤先生の書かれた簡明版はとてもわかりやすく、素晴らしいなと感銘を受けました。日本では、私たち国民に対し、憲法でもたくさんの権利や義務が保障されていますが、大学生となった今でも、その内容を明確に理解することが難しいことが多々あります。
 しかし、この国や市で生きていく中で、自分たちの義務や権利を理解できていないのでは、確かに問題です。特に知的障害を持っている方の中には、条例などのように長い文章を理解するのは、非常に困難である方もいらっしゃると思うので、この簡明版を作られた宗澤先生のご苦労と思いは、多くの方に伝わると思います。
 障害を持った方や高齢者、大人や子ども、外国の方など様々な人が日本で暮らしていますが、私たちが当たり前のようにわかっていると思っていても、全ての人々が自分たちの権利や義務を完全に理解できているわけではないと思います。
 このような条例だけでなく、普段の生活の中でも、誰もが不自由なく安心した生活が送れるよう、一人ひとりが自分のできる範囲で工夫していけたらと感じました。


投稿者: にゃあ | 2011年06月19日 16:41

こんにちは。
私は、今大学で福祉について勉強しています。
先日、先生の講義を受けさせていただきました。
先生の話はとてもおもしろく、もっといろいろとお話をお聞きしたいと思いました。

先日の講義では、さいたま市の条例についての
お話をされていましたが、障害を持つ当事者の方を交えての100人委員会は当事者の方が必要としていることに叶えるために1番必要とされていることなのではないかと思いました。
当事者の方にしか分からないことはたくさんあると思うし、いくら分かろうとしても難しい部分はあると思います。
そこで、障害の有無にかかわらず、また障害の種類も関係なく話し合うことはそれぞれの人の想いや願いを知ることができる唯一の方法だと思います。

また、ブログにも書かれていたように条例の原文を簡明版にすることは大変だとは思いますが、すごく効果的なことだと思います。
自分自身も条例について知識がなく難しい言葉を並べられると全然理解できません。
障害の有無にかかわらず、みんなに理解してもらうためにとても大切なことだと思います。
実際に簡明版にされたものを読ませていただきましたが、とても分かりやすく、すっと頭に入ってきました。
大変時間がかかる作業であってもいかに必要なことかを感じました。

これからも先生のブログ読ませていただき先生のブログから学びや知識を吸収させていただきたいと思います。
ありがとうございました。


投稿者: なっちゃん | 2011年06月20日 19:25

 条例の文というのはどうしてもわからないという人が多いと思います。障害者の方も健常者の方も皆が住みよい街づくりのためには必ず条例というのが必要だと思います。しかし、住みよい街づくりに協力しようという気持ちがあっても、条例をうまく理解することができなければ、どう協力をしたらいいのかわからないということがおきてしまうかも知れません。実際私自身も今法律を勉強していますが、条例などは先生の解説を聞かなければわからないものがたくさんあります。また、今福島の原発の問題についてもテレビで条例などについての難しい言葉を耳にしますが、何が問題で状況が改善されないのかよくわからないというのが本音です。
 しかし、原発に関してもそうですが福祉の条例について私たちが「わからない」というままだと、障害者の方たち全員が住みよい街づくりというのは実現しがたいと思います。誰もが住みよい街づくりのための条例なのだから、この条例は地域の人たちが理解し、実行していくことで生活の中に生きていき、私たちが目指す、誰もが住みよい街づくりの実現に繋がっていきます。
 今私の身近におこっていることでは、駅前の放置自転車の問題があります。放置されている自転車の前にたくさんの文が書かれた張り紙がされていますが、この張り紙の文を理解している人は本当に何人いるのかと思ってしまいます。何を書かれているのか、またその文が何を言わんとしているのかを理解することができていれば放置自転車は今のように大量には無い気がしてなりません。
 福祉において私たちが持っている助け合いの心や、行動しようとする心。これらを最大限生かせるような条例文にどの地域もなればいいのにと切に思いました。
 


投稿者: じんちゃん | 2011年06月25日 17:11

 条例などの文章はわかりにくいものばかりのような気がします。
 条例はその地域に住むひと誰もが関係のあるものであるから障害のある方や子どもからお年寄りまで誰もが一度読んで理解できる文章である必要があるので、簡明版の作成という作業は非常に重要だと思いました。
 条例に限らず、人々の暮らしに関わる重要な文章はほとんどのものが簡明版が必要だと思います。


投稿者: りっちゃん | 2011年06月27日 19:09

 条例の簡明化お疲れ様です。
 条例の簡明化の目的として、障害を持っている方や小学生にも理解できるようにとしていますが、これは一般人にも大いに役立つと思います。
 正直な話、一般人でもなかなか理解に苦しむ内容だと思います。なので、簡明版というのは、すべての人が条例を理解できる優れたものだと思いました。実際に読んでみればその差は歴然です。わざわざ難しい言葉を使うのではなく、もっと平易な文章で条文を書くべきだと思いました。


投稿者: ヒデ | 2011年07月06日 11:09

 条例と聞くと、なんだか堅苦しくて私達には直接関係ないもののような感覚がありますが、ほとんどの条例は実際に私達の生活に関係を持っているのですから、きちんと理解していなければなりません。とは言うものの、大人でもわかりにくいことが多い条例の文ですから、子どもや障害のある人はさらにわかりにくいと思います。ですが子どもや障害のある方も当然確固たる人権をもつのですから、そんな人々のために行う条例の簡明化は非常に大きな意味を持つ取り組みだと思います。自分も機会を見つけてやってみたいです。


投稿者: みそ | 2011年07月08日 15:52

 条例を誰でも分かるように簡明化する、というのはとても大変な作業だと思います。ちょっと違うかもしれませんが、私の経験でいう「自分が理解している数学の問題を、理解出来ていない子に教える」という事に似ていると思います。とても大変ですよね、あれ。
 大学生になったばかりの私ですが、正直未だに条例などの難しい文章は苦手です。硬い文章を読むのが苦手、苦痛、出来れば読みたくないと思うのは、私だけではないと思います。だからこそ、先生の作成した簡明版を読んで感動しました。最初からこういう風に条文が書いてあれば良いのに、と思ってしまったのもきっと私だけではないはずです。
 誰もが分かるように文章を書き直す。これも一種のバリアフリーではないでしょうか。私もいつか、このような作業をしてみたいです。


投稿者: oz. | 2011年07月09日 14:33

条例案の簡易版を仕上げる作業、お疲れさまでした。
法律用語が頻繁に出てくる条例案を、いかに分かりやすく表現するかという作業には大変なご苦労があったかと思われます。
現代社会は、どの分野においても専門化がどんどん進んでいます。専門分野の世界では、その分野独特の専門用語があり、その世界では特に違和感無く使用されています。しかし、それ以外の一般の人々はそのことに違和感を覚えるし、また、理解することが困難なことも多いはずです。
人間はつい、自分が理解していることは、相手も理解できていると誤解しがちです。自分自身も現在、専門職に就いていて、仕事中は日常的に専門用語を使っています。今回のブログを拝見して、自分では相手に分かりやすいように話そうと心掛けているのですが、まだまだ不十分であるとかんじました。分かりやすく相手に伝えるには、まず、専門用語の意味を自分自身が十分に理解しなければいけないと反省しましたし、そうでなければ相手にも分かりやすく説明することはできないと思いました。
今後は相手に分かりやすい言葉で話すことに手間を惜しまず、相手の立場に立って話すように努めていきたいと、初心に帰る機会になりました。


投稿者: tatami | 2011年07月12日 00:23

法律や条例の条文は文章に堅いイメージがあり、一般の大人ですらなんとなく嫌厭しがちな文章表現になっていると思います。これはもちろん子どもや知的障害の方にとって理解するのは容易ではありません。しかし、私たちが社会でより良く生きていくためには、自分の権利や義務を知ること、また国の方針等を理解することがとても重要であるように思います。そのため、このような「すべての人に分かりやすく簡明化する」という取り組みは素晴らしいと思うし、今後大いに取り入れていくべき活動だと感じました。現在では、「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」などの言葉に代表されるように、障害や性別、年齢などに関わらず、すべての人にとって住みやすい社会の実現が目指されています。この取り組みの一環としても、条文の簡明化は大きな成果になると思います。


投稿者: ちょこ | 2011年07月12日 00:43

 条例と聞くと、堅苦しく難解なものといったイメージがあります。本来私たち市民の生活を守るものであり、私たち自身がきちんと理解しているべきものなのですが、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。条例は法に関わるものであり、公的な文章ですから、自然と専門用語や難解な言葉づかいになってしまいます。
 しかし、その条例で守られるべき人々がその内容を理解できないのでは本末転倒のような気がします。なぜなら、自分たちの権利が守られるべきだということを理解していなければ、権利が脅かされたときにそれを主張することができないからです。今回、先生が条例の簡明化をなさったことは、とても大きな意味を持つと思います。
 ブログ内で「こどもの権利条約」の簡明版について話がでていました。私は小学5年生のとき「子どもによる子どものための子どもの権利条約」という本で感想文を書いたことがあります。簡明版というには少しくだけた内容の本でしたが、大変わかりやすく子どもにも十分理解できる内容で無理なく読めたことを覚えています。何事も解るということは楽しいもので、それが自身に関わる内容なら尚更です。
 今回の条例も、簡明版が出ることで興味を持つ人が増え、市民の中に自然と浸透していくのではと思っています。


投稿者: 黒猫 | 2011年07月12日 09:06

条例はその地域に住む人々が理解することではじめて意味を持つと思います。そこで難しい言葉が使われ子供や知的障害のある方たちが理解しにくい原文を簡易化することは子どもから高齢者まですべての人の暮らしをより良いものにするために重要なことだと思いました。条例の簡易化に限らず誰もが不自由なく暮らしていけるような社会づくりをさらに進めていくことが大切だと感じました。


投稿者: tara | 2011年07月12日 17:14

 意図する内容を的確に伝えるということはやはりすごく難しいと思います。しかもそれが文章で、なおかつ簡素な言葉でとなればなおさらです。言語は記号ですから、ある理念や事象を的確に伝えようとすればするほど、細かな単語の一つ一つまで確実に定義付けていかなくてはなりませんが、相手により深く理解してもらうためのその行為が文章構造を多層に、複雑にしてしまい逆に難解な文章になってしまうというジレンマを生じさせます。
 私個人としても大学に入ってから、複数人に対して自分の意見を述べる機会が増えましたが、そのたびにこの問題とぶつかっています。人と人との関わり合いである福祉には相互理解が不可欠だと思いますが、どのように自分の気持を表現し、いかに相手の言葉の意味を汲み取るかといったことに個々人がどれだけ配慮できるかが精神的なバリアフリーへとつながっていくように思います。


投稿者: おかか | 2011年07月12日 20:47

 意図する内容を的確に伝えるということはやはりすごく難しいと思います。しかもそれが文章で、なおかつ簡素な言葉でとなればなおさらです。言語は記号ですから、ある理念や事象を的確に伝えようとすればするほど、細かな単語の一つ一つまで確実に定義付けていかなくてはなりませんが、相手により深く理解してもらうためのその行為が文章構造を多層に、複雑にしてしまい逆に難解な文章になってしまうというジレンマを生じさせます。
 私個人としても大学に入ってから、複数人に対して自分の意見を述べる機会が増えましたが、そのたびにこの問題とぶつかっています。
 人と人との関わり合いである福祉には相互理解が不可欠だと思いますが、どのように自分の気持を表現し、いかに相手の言葉の意味を汲み取るかといったことに個々人がどれだけ配慮できるかが精神的なバリアフリーへとつながっていくように思います。


投稿者: おかか | 2011年07月13日 00:27

 条例というと、文章が硬く、なかなか身近に感じにくいイメージがあります。しかし実際には、条例は私たち市民の生活に関係を持っていて、市民の生活を直接的に守るものだから、普段は距離を置きがちだけど私たち自身でしっかりと理解していなければいけないんだな、と感じました。
 そのような観点からも、条例の簡易化というのは非常に重要な作業であると思います。やはり、子どもからお年寄りまで様々な年代の人が見ても内容を理解することができれば、条例ももっと市民に身近な存在になり、興味・関心が増えていくのではないでようか。
 また、簡易化という作業は、「バリアフリー」にも繋がると感じました。


投稿者: りい | 2011年07月13日 08:31

 条例案の簡明化お疲れさまでした。
 私は現在大学で法学部に所属していてさまざまな法律を研究していますが、法律の条文や条例案の文章というのは、日常の口語表現などとはまったく異なる言い回しや漢字などある程度の教養のある社会人の方でも読んで意味を理解することは難しいですし、時間も大量に費やすことが多いのです。
 法学部の学生や社会人の方でも理解が困難であったり、時間がかかってしまっては、法律や条例を子供やお年寄りあるいは法的知識に乏しい人々に伝えることができずまったく意味のないものになってしまうと思うので、よりたくさんの人々に理解してもらい、法律に触れてもらう機会を増やすためにも条文を簡明化するといった宗澤先生の行動はこれからどんどん広まってほしいと考えています。


投稿者: HY | 2011年07月13日 16:37

 条例を簡明化するのって本当に大変なのですね…。お疲れ様でした。
 去年、教育学部の必修授業「市民と憲法」を受講したのですが、その際に「文章がもっと易しくて分かりやすいものだったらいいのになあ。」と何度思ったか分かりません。ですが、文章そのものは難しいのに、憲法の内容は(当たり前ではありますが)どれも私達が生活していく上で知っておかなければならないものばかり。これが憲法で良いのか、適用される私達が読みにくいものであって良いのか、と疑問を感じています。
 宗澤先生が本文にお書きになっているように簡単な言葉に置き換える、ということはすごく難しいですし、何もかも簡単にすればよい、というわけではないのですが、法律を解釈しやすくする何らかの手立てが欲しいと思っていたので、この取り組みは素晴らしいと思います。


投稿者: ぽん | 2011年07月14日 14:38

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
タイトル:『障害者虐待 その理解と防止のために』
編著者:宗澤忠雄
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発行:中央法規
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