バードウィーク(愛鳥週間)を前に―ツミと出会う
今回はバードウィーク(5月10~16日)を目前にした話題をお届けしましょう。
今年のゴールデンウィークは休日がうまくつながったため、遠出をされた方もさぞ多かったことでしょう。いささかくたびれ気味の私は、読書・散歩三昧のゴールデンウィークと決めて休息をとることにしました。すると、思わぬところでツミと出会いました。
ツミ(オス)が小鳥を捕食しているところ
この時節には、さまざまな夏鳥が日本に渡り、木々に囀る鳥たちは賑やかになります。育雛に向かう鳥のつがいが、それぞれの住処にふさわしい巣材を集める光景を眼にします。
このような夏鳥の中で、私が毎年渡来の確認を楽しみにしているのがアオバズクです。今年も埼玉県某所ではほぼ例年どおり、この5月3日からアオバズクの鳴声が聴こえるようになりました。オスのアオバズクはメスを呼び寄せてつがいを形成するまでの短期間、夜になると「ホーッ、ホーッ」と盛んに鳴きます。
そこで、このアオバズクを撮影しようと某所に出かけてみると、「森の忍者」との異名をとるフクロウの仲間だけあって、姿を見つけることができません。昼間はめったに鳴きませんし、飛んでも羽音を立てない鳥です。その上、今の私は左眼が思うように見えないとなるともはや絶望的か…、と観念しかけたところにツミが雄々しく姿を現わしました。
ツミは日本でもっとも小柄なワシタカ類に属し、せいぜいハトくらいの大きさです。写真はオスのツミで、霊長類ヒト科でもはや珍しくなった「肉食系男子」を表すような光景です(ワシタカ類だから、「肉食系」は当たり前か…)。
ツミ(オス)は、胸が橙褐色、眼が暗紅色
ところが、ツミのオスはメスよりも一回り小さく、見た目はメスの方がはるかに猛々しい印象を受けます(メスは撮影できませんでしたが、腹から胸が黒色横斑、眼は黄色に中心点が黒)。昔から「ツミ」という鳥名はメスに与えられてきたもので、見た目に小さくひ弱さを感じさせるオスは別の鳥と考えられ「エッサイ」と呼ばれていました。同種の雌雄と確認された今は、「男女別姓」ではなく、メスに与えられた名前を代表することになっています。
このオスが食べていた餌をすぐにメスに「横取り」されるところを観察しました。巣作りから育雛に向かうつがいにとっては、おそらくオスのメスに対する種としての「合理的配慮」であり、餌を「差し上げた」ことになるのでしょうか(嗚呼)。
メスに餌を「差し上げた」直後のオス
アオバズクやツミは人里では従来ありふれた夏鳥でした。私が観察をしている某所も、ゴールデンウィークの人出が溢れているようなところです。しかし、一方では、観光客はおろか地域住民もこのような鳥の棲息に気づくことはなく(某所の自治体の自然保護担当の職員も全く知らなかった!!)、他方では、2008年版の埼玉県レッドデータブックにおいて、ツミは「準絶滅危惧種」、アオバズクは「地帯別危惧種」に指定されています。ひょっとするとわが国の現代人は、自分に直接的な被害が及ばない限りは関心を寄せないまでに環境とのつながりや共同性を、そしてまた想像力と理性をも喪失しているのでしょうか。
これらの鳥は、肉食系ですから、地域の小動物や昆虫等を含む生態系が豊かに保たれ、巣作りに欠かすことのできない大木のあることが生息の条件です。私の足の届く範囲でも、15年前には3か所でアオバズクの渡来を確認できましたが、今や1か所だけになりました。
その一方では、一躍脚光を浴びている鳥もいます。下の写真はムナグロで、ユーラシア大陸と北米の渡りの最中に、日本に2週間ほど羽根を休める旅鳥です。
ムナグロの幼鳥
この写真は、私が某所への渡来にはじめて気づいた折に撮影したものです。するとムナグロの渡来場所がインターネット上の情報として瞬く間に流れたようで、翌年からは、100名近くの「ギャラリー」が、ムナグロを目指して賑やかに訪れるようになりました。その殆どはどうも団塊の世代とおぼしき人たちで、三脚付のカメラに装着された望遠レンズは1本100万円以上する代物がずらりと並んでいます。
きっと、ムナグロ君はゴルフの石川遼選手のような心境じゃないでしょうかね?「餌を捕るのに集中できないから、シャッターを切らないで下さい!!」と。
ムナグロの群のそばには、誰からもレンズを向けられることなく、埼玉県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されるチュウサギがひっそりと佇んでいました。
絶滅危惧Ⅱ類のチュウサギ
コメント
私は正直鳥の事はよくわかりません。私の地元は自然がたくさんありますが鳥をまじまじと見たのはとても久しぶりです。
この記事にアップされている鳥はすべて初めて見た鳥ばかりでした。
埼玉県では絶滅危惧種が見られるようなので私も外に出るときは意識したいと思いました。この記事を読んで今までなかった鳥への関心が生まれました。
人間も鳥もやはり強いのは女性のほうなのですね(笑)。初めてこの2種類の鳥について知りました。たくさんの野鳥が飛び交う自然溢れる町って、素敵ですね。
雌に餌を差し上げた直後の雄のツミさんの顔がとっても切ないですね・・・(笑)雄のツミさん、頑張れ! そんなツミさんが危惧種に指定されている事、全く知りませんでした。ほかの鳥についても全然知りませんでした。
写っている鳥たちもさることながら、写真がとてもユーモアに溢れてますね。
そのうえ、取り方がとても上手です!
餌を「差し上げた」後の雄ツミの写真は何とも言えません。。。
今度はぜひ、他の動物の写真も掲載してください!
僕は緑溢れる地千葉県にすんでいるので、野鳥が盛んに鳴いています!
ぜひ、今度千葉県にいらしてください!!!
写真のツミかっこいいですわね♡
私も鳥のことはよく分かりかねますが、鳥というのは人の心を癒してくれる存在であると思います。しかし、現代では自然は少なくなり、特に都市部で見かける鳥などごくわずかで、しかもその多くがカラスやハトなどです。
このような慌ただしく、しがない世の中だからこそ、人はこの鳥という存在に、鳥たちが住む自然に、もっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。
私は埼玉県の田舎に住んでおり、自然も多く鳥たちもたくさんいるのですが気にしてじっくりと観察したことはありません。
この記事を読んでのんびりとした時間を過ごし、自然を観察するすばらしさ楽しさを教わった気がします。たくさんの鳥の写真とそれについての記事が読めてよかったです。
私は鳥のことはよくわかりませんし、興味もありませんでしたが、これを機会に外出する際に、自然を観察したりしたりしたいと思います。
また、危惧種が絶滅しないように保護活動を積極的に国が行ってほしいと思いました。
大抵の人は、日常的に自分の目の前にあるものは普遍のものと思ってしまって関心を持たないものだと思います。環境について言うなら、ニュースで取り上げられる地球規模での温暖化や、エコポイントくらいしか普段から意識はしていないでしょう。
見慣れた鳥が絶滅危惧種であることは知らず、偶に姿を見せる鳥に注目が集まってしまうというのは、ある意味「灯台元暗し」ではありませんか。人のことは言えませんが、地学の先生のおっしゃる通り私たちはもっと身の回りの事象にこそ関心をもつべきです。
最近はめっきり自然観察のようなことをすることもなく、埼玉にもこのような絶滅危惧種が飛んでいることを知って驚きました。
これを見て、身の回りの自然に触れる機会をもっと増やしていきたいなと思いました。
また、次世代のためこのような自然を大事にしていかなければなぁとも思いました。
最近は、鳥をまじまじと見る機会はほとんどなく鳥のことを考えることなどほとんどありませんでした。この記事を読んで、夏休みなどに機会があったら山にいって自然とのふれあいをもち、普段、しないような野鳥観察などをしてみるのもいいなと思いました。
最近このように鳥を見かける事が少なくなってきたのは、やはり人間の活動で環境が悪くなっているからだろうか・・・・
久しぶりに心穏やかになる話題でした。こういう風景が日常で見受けられるようになれば、もっと人間も穏やかに日々を過ごせるような気がします。写真で見ただけの自分がこれだけ和めているんだから。
環境保護をもっと意識して生活していこうと思います。
この2種類のことを初めて知りました。自然をまじまじと観察するということは最近はまったくしません。でも身近な自然の中にも面白い発見があるのだなと思い、観察してみたくなりました。
絶滅の危機にある鳥が多く存在していることを知りました。私は鳥についての知識は全くないのですが、絶滅してしまうのはとても寂しく感じるので、これからは自然環境をもっと考えて絶滅を防ぎたいと思いました。
自然が減ると、観察できる鳥の数も減ってさみしいですね。
私の祖父の家の近くにはとても大きな用水池があって、冬になると白鳥などの水鳥が数多くやってきます。双眼鏡をもっていってのんびり眺めていると、いろんな種類の鳥がいて見あきないですね。
鳥の写真いいですね。
チュウサギのほかにも絶滅を危惧される動物は沢山います。
自然が失われるのは残念です。
自分は正直今まで鳥を見に行こうと思ったこともなければ、興味を持ったこともありませんでした。しかし、この記事を読んで、機会があれば静かな山などへ行き鳥を観察してみたいと思いました。
また、絶滅危惧種を保護するためにもっと環境のことを考えて生活しなければいけないと思いました。
この記事を読んで、絶滅危惧種の動物がいることを改めて認識させてもらいました。僕たちはこういう動物達がいることを考えて、自分の生活をあらためるべきだと思いました。あと、僕も鳥を見に行きたくなりました。
人間は自然をどんどん破壊し、多くの道路やビルなどを作ってきました。最近では自然の大切さが少しは見直されていますがまだまだです。人々が自然に目を向け、自然の大切さを理解してほしいです。そして自然がもっとたくさん増えていけばいいなと思います。
自分はアオバズクやツミという鳥が「地帯別危惧種」、「準絶滅危惧種」だと言うことを知りませんでした。そもそもそのような鳥のことも知りませんでした。
ほとんどの人は、自分と直接関係ないものには関心を持たないのだと思います。
また、関係があっても他人事のように思ってしまうことが多いように感じます。
特に、環境問題についてはそのような傾向が強いと思います。
もっと自然環境に目を向け、環境問題を自分たちの問題だと考え、自分たちで守っていくという意識を持ったほうがいいと思います。
私の地元では、このような野鳥を目にすることがたびたびあったが、この写真の鳥は見たことが無かった。埼玉県にも絶滅危惧種の鳥がいるようなので、今度外に出たときには注意して見てみようと思う。
記事を読み思わず笑ってしまいました。気になる女の子を振り向かせたくて頑張るのは何も人間だけじゃないんですね。
何か種族を超えた同じ”雄”としての人間と鳥の共通点を見出せた気がしました。
私は鳥のことがあまり興味がなく、日本にも絶滅危惧種、準絶滅危惧種が近くに存在していることを知らなくて驚きました。人々が、もっと自然環境に目をむけて、改善していく必要があることをこの記事を読んで改めて実感することが出来ました。
僕もバードウォッチングは好きです !
ときどき、近くの湖にバードウォッチングに行くことがありますが、この頃、野鳥のなきごえをきくことも、すくなくなっているとおもいます。
このもんだいは、しぜんかんきょうのもんだいとからめて、しんけんにかんがえていくべきだとおもいます。
写真を見て昔、山に登ったことを思い出しました。山は空気がきれいだし、鳥の鳴き声を聞いていると、とても癒されます。…なんか自分もまた山に登りたくなってきました。笑
ここら辺では鳥を見ることはあまりないのですが、私の実家の千葉ではキジ、キツツキといった鳥類を山などに少し足を運べば、身近に見ることができました。鳥は自然を象徴してると言いますか、そこに存在しているだけで、まだまだここらへんにも自然があふれているんだなっとしみじみ感じさせてくれます。しかし、バードウォッチングというものは乙なものですね。鳥を見ながら、自然を堪能することも、今の疲れ切った自分には必要なことかも知れません。身近すぎる故、気づくことができなかった貴重な自然に、もっと目をむけていきたいものです。
私も鳥を見るのが好きです。
最近は暑くて、鳥達もバテ気味です。
猛禽類が好きなのですが、私の家の近くには猛禽が生活できるような環境が少なく見られることはありません。
ワシタカは基本的にメスの方が大きく、勇ましい顔をしています。
いつか、ワシタカの渡りを見てみたいです。
自分は鳥を今までちゃんと見たことが無かった気がします。今回のブログを見て鳥に興味が湧いてきました。
私たちが見る日常の風景の中に溶け込んでいる鳥類。普段は当たり前のごとく見逃しているが、たまによく見てみると、趣があるものだなと思うことがあります。季節によって見かけるものも違うし、数も違うように感じます。たまに見かけた鳥がもしも絶滅危惧種だったら…なんて考えたらもっと日常的に周りを見るよう見なるのでしょうね。
私の実家では、キジやウグイスなど鳥がたくさん見れます。運が良ければミミズクも見れます。鳥の写真を見て大自然の実家が恋しくなりました。
私はキジやウグイスといった自然に住むような鳥類をあまり見かけたことがありません。親が子供のころはよく庭にやってきていたと聞きました。現在そういった鳥たちを見られないのは、やはり私たち人間が彼らの住む環境を壊してしまっているからなのでしょうか。そんな中彼らを見ることができた先生はとても貴重な時間になったことでしょう。
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