少子高齢化と住宅難
総務省が8月11日に発表した住民基本台帳に基づく人口調査結果(平成21年3月31日時点)によると、少子高齢化の進展と三大都市圏(東京圏・名古屋圏・関西圏)への人口集中が明らかとなっています。これらの現実を深刻化させる最大の問題の一つに、都市部の住宅難があることは疑問の余地がありません。
次の表は、20年住宅・土地統計調査から、首都圏以北の都道県における専用住宅の状況を示すものです。首都圏と仙台市を含む宮城県に、専用住宅の狭隘さのあることは明らかです(北海道の値が低い原因は、今のところ不明です。この点は別途調べたいと考えます)。
ここでまず、都市部への人口集中と少子高齢化の進展を考えるために、事態を思い切って単純化してみましょう。大略、次のような悪循環があるといえるでしょう。
〈仕事に就くために三大都市圏に出るしかない〉
⇒〈都市部で良質の住宅を確保することは難しい、価格が高い+保育所の待機児童は多く、子育てに不安が高い〉
⇒〈結婚・出産をためらう、またはあきらめる〉
これらのことを裏返してみれば、安定した所得に恵まれる仕事にさえ困らないのであれば地方で暮らしたい、というのが多くの人の生活実感となりはしないでしょうか。私の勤務する大学でも、地方出身の学生たちが教員か公務員の採用試験に受かるのであれば故郷に帰りたいと希望するのは一般的ですし、健康で文化的な暮らしを希求する青年としては当然の気持ちだと思います。
高度経済成長からバブルの前半の時代のように、「持ち家」を購入することが「投資」または「有利な貯蓄」のような意味をもつなら、場合によっては、広いところへの住み替えも可能でしょう。でも、そのような時代は少なくともバブルの崩壊とともに終焉を迎えました。
すると、この深刻な少子高齢化と都市部への人口集中への社会的な対応は、都市部においては住宅難の解消と保育所の拡充を、地方部においては安定した雇用の創出をはかるという総合的なものでなければなりません。狭義の「子育て支援策」の範囲にとどまるのであれば、その効果も「焼け石に水」に終わるかも知れません。
コメント
久々の書込みです。いつも御来店誠にありがとうございます。
少子高齢化等は確かに深刻な問題ですが、実は何十年も前から言われてたような…。住宅・雇用事情に加えて、ライフスタイルの変化や女性の社会進出、年金問題等が拍車をかけて進めていると思います。
どんな問題も表面化してからの対策では、解決に時間がかかるのは否めません。今の経済状況では尚更かもしれないですね。
実は先日、当店が空き巣に入られ、今更ながらようやく防犯対策に乗り出した次第です。もっと早くに~と思っても時既に遅し。せめて再犯に遭わない為にも、と考えております。
不景気のせいか、空き巣やひったくり、詐欺などの犯罪が本当に増えてるようで、人口の密集した地域では、今後治安の問題も深刻化してくる可能性もありますよね。
先生方もどうかお気をつけ下さい。
長文失礼しました。
こんにちは。先日は、お忙しい中北九州市立大学で講義をしてくださり、ありがとうございました。
わたしも職種や収入のことを考えるとやはり地元に帰るより都市部に行ったほうがよいのではないかと考えているひとりです。地元に帰るなら安定している公務員。みんな考えることは一緒なんですね。
ただの子育て支援策ではなく、その地域に根ざした地域特有の具体策を考える必要があると思います。
政府やお役所任せではなく、将来の生活やこどもたちのためにも自分たちで真剣に考えなければならないと思います。
首都圏、宮城県とその他の都道県の専用住宅の広さにここまで差があることには驚きました。今まで少子高齢化の進展や、三大都市圏への人口集中に都市部の住宅難が関係しているとは考えていませんでした。
このような悪循環を断ち切るためには、どこにいても安定した生活が保障されることが大切だと思います。そのために、首都圏では、託児所の数を増やす、育児休暇を与える、あるいは夫婦で働いていても子育てができる雇用時間の工夫など、安心して子育てができる環境が、また地方には雇用の安定化と同時にインフラ整備や医療、福祉、保育、教育の場を充実させるなど、全体的な街づくりが必要だと感じました。
このように地域に合わせた課題を発見し、進めていくことで、結果的に少子高齢化の解決につながるのではないかと思います。そして、結婚や子どもを生むこと、家族で暮らすことを望む人が、社会の理由で諦めることがないようになってほしいと思います。
都市部の住宅難が結果として少子化にまでつながっていることに驚きました。
最近、結婚しない人や子供を産まない家庭が増加していますが、職を求めて三大都市圏に地方から出てきたのに、住宅環境のために結婚・出産をあきらめてしまうということは、本当に皮肉なことだと思います。私の実感として、地元には職がなく、都市圏へ移住する知り合いは非常に多いです。私も、地元であるならば親の協力の下に育児をすることも可能でしょうが都会で子育てをすることは難しいと思います。
先生のように都市部では住宅難の解消と保育所の拡充をし、地方部においては安定した雇用の創出をはかるという総合的な考えによって育児不安を解消していくことが本当に必要であると思います。そうすることが本当の問題解決になると私も思います。
こんにちは。先日北九大で聴講させて頂いた者です。
少子高齢化は様々な分野に影響を与えていますが、都市部での住宅難とも結びついていたのですね。
若者の大半は都市部に出て行き、地方の過疎化が進んでいるということはよく耳にします。しかし、そういった若者達の中には、就職や生活の利便性などで地方をやむを得ず離れる人も多くいます。就職においては、市民から見て自分の地域にある地元企業がどういったことを行っているのかが意外と分からなかったり、都市部にある企業より劣って見えるということがあるのではないでしょうか。
例えば地方行政と地元企業とがもっと連携して、市民に情報を公開したり学生等が参加できるようなイベントを行うといったような、地方での雇用を安定・活性化させる施策が必要だと思います。
都市部での住宅難を解消するためにも、子育て支援だけでなく、その子供達が育った後にも安定して生活していける地方作りが重要な課題だと感じました。
少子高齢化は今日本の現状で、さまざまな問題があります。少子化の主な直接原因は晩産化の進展による女性一人あたりの生涯出産数の減少である
晩産化が進む背景として、結婚や育児・教育環境に高い条件を求める傾向が強まっていることが挙げられる。
また、結婚してから女性の負担が多くて、子育てに怖がってるのが多いです。もっと子育て支援を完備して、女性の負担を減らしながら、少子化問題を解決すべきと思います。
私は生まれも育ちも東京なので、都市部の住宅難がこんなに深刻だということを初めて知りました。確かに住む場所がなければ子供を産む気になんてなれないですよね。
私の住んでいる地域も少子高齢化が叫ばれています。住宅の問題も重要ですが、様々な家庭の形がある中で、子供を育てていける環境を作っていかなければ少子化が解消されることはないと思いました。
都市圏への人口集中が、都市部の住宅難や保育所の待機児童増加の問題を引き起こす。このことは何年も前から言われてきていることだと思います。
先生がおっしゃるように、「仕事に就くためには都市圏に出るしかない」というのはもっともだと思います。それが結果として家庭を持ちにくい状況を作り、少子化にまで影響を与えていることには驚きました。私は今東京に住んでいますが、集合住宅やマンションに住んでいる友人ばかりです。私自身も4人で集合住宅に住んでいて、延べ面積は70平方メートルです。親の実家(鹿児島)に行くと、東京の家がとても狭く感じられます。地方では家が広いのに対し、少子高齢化が進んでいることはまさに悪循環だと思います。
都市部では住宅難の解消と保育所の拡充、地方部では安定した雇用の創出が必要なのだと、私も思います。
ブログを拝見させていただいて、改めて少子高齢化と人口集中が進展していることを実感しました。
私自身も地方から上京してきているので、首都圏の住宅事情には「広さ」「価格」という点において非常に驚いたことを覚えています。
限られた土地に人口が集中していく中で、その集中する人口に見合った良質の生活環境を創設していくことには限界があると思います。もちろん、住宅難の解消と保育所等の拡充による生活環境の良質化は必要ですが、まずは人口の集中を緩和するための対策がより重要だと感じました。
たとえば、大都市圏の生活環境を教訓としながら地方の中都市圏の改善を進め、人口の分散を図っていくなど総合的でかつ根本的な解決が必要だと思います。
規模が大きいだけに難しい問題ですが、それだけに机上の空論にならないようにしていくことが大事だと思います。
都市部に人口が集中している悪循環については同意見を持ちます。
たびたびテレビなどで地方の田舎が映像で放映されますが、その中の高齢者が口をそろえて言うのは「若者がみんな出ていってしまう」ということでした。
都市部に出てくる人が減れば、おのずと地方に就職する人の数は増え、地方が元気になってくれるものと信じています。
このブログを読んで、都市部への人口集中と少子高齢化の関連性が分かりました。これらを食い止めるために、ブログに書かれていることをするのはもちろんですが、社会全体として育児休暇を取りやすい風潮にしていくことも重要だと思いました。
僕は地方出身の学生で、地元のローカル番組のニュースで、お年寄りが「多くの若者が都市に出ていてしまい、農作業や労働をする人がいない。」と言っているのをたびたび目にしてきました。
また、地域ごとに若者の都市移行を食い止めるために、さまざまな対策を行っているという話も耳にしました。
しかし、交通機関が大きく発達し、便利な生活を容易におくれるようになった現在において、若者を地方にとどめておくのは厳しいと思います。
だけれども、地方の重度高齢化や孤独死が問題になっている現在において、解決が厳しいからといって投げ出してはいけない問題であるはずです。これからは地方の問題とせずに、政府が協力し問題の解決に努めるべきであると思います。
初めて投稿させて頂きます。北九州市立大学の学生です。大学に講義をしに来て下さって有難うございました。
このブログを拝見して、少子高齢化が三大都市圏に集中しているとはじめて知りました。この現状を解決するには、先生が仰られるように、都市部の住宅難の解消と、保育所の拡充、地方部では雇用の安定が必要だと思います。
私が考えたのは、都市部の人口集中を改善するために、地方の雇用状況や、企業誘致を行うための地方それぞれの特色をいかした地方主導の政策をどんどん行うべきだというものです。
このまま少子高齢化が進むと、若者の負担は増え続け、中身の薄い社会福祉制度では高齢者を守っていくことは出来ません。政府が先導して解決していくのは当然ですが、都市部、地方部どちらも、企業の努力も必要なのではないかと思います。
こんにちは。先日は北九大に講義に来てくださりありがとうございました。
私は地方出身なので、大学進学でこちらに来るまでは過疎化・少子高齢化の影響を実感しながら育ってきました。なので、やはり地元に戻って働きたいと思っても、都市部で就職したほうが安定した所得を得られるのではないかと考えてしまいます。
この問題を解決するためには、政府の働きかけはもちろんのこと、企業側も自社の利益追求のために海外に出ていくのではなく、多少のリスクを負っても地方に工場を作るなどして、国内での雇用を優先することで、国内の景気改善に努める必要があるのではないかと思います。
地方でも安定した所得が得られるようになれば、過疎・過密の問題やそれに伴う都市部の住宅難も改善に向かい、都市部での待機児童の数も減少していくのではないでしょうか。
発想の問題だと思います.
「仕事に就くためには3大都市圏にでなければならないが,住宅難がある.そうすると,育児に当てるお金がなく出産をためらう.だから,地方での安定した雇用の創出と,大都市圏における住宅難の解消,保育所の拡充が大事だ.それが少子化を防ぐ.」ということですが,ひとつ提案があります.
大都市圏の住宅難についてですが,どうして職場の近くに住まなければならないかと言えば,「遠い所に住んでいるのでは通勤できないから」です.であるのならば,遠くからでも出勤できるようにすればよいと思います.つまり,リニアモーターカーです.日本全国にリニアモーターが走っていれば,地方にいる人でも,大都市圏に出勤することができます.
また,国が一大事業として日本全国にリニアモーターカーを敷設することにすれば,大きな雇用拡大にもなるはずです.地方で働ける人も増えるし,地方と大都市圏との落差がなくなれば,逆に地域産業の発展にもつながると思います.そうすれば,大都市圏に保育所をつくる必要もなくなると考えます.さらに,安心して実家に子どもを預けることもできるようになるかもしれないし,そうすることで,大家族の文化が復活するかもしれません.
要するに,大都市と地方との「距離」を縮めてしまえば良いのだと思います.
今、東日本大震災などによる影響で職を失った人もたくさんいる。復興もかなり進んでいるが、宮城や岩手の農家は、土地が津波により塩が含まれてしまったために困っている。そういう被害をうけた人にも国による救済処置が長期的に必要になるだろう。
最近では、一戸建ての家を買う人が減り、マンションを買う人が増えている。それも上のデーターの1つの理由だと思う。最近では地域の職人が減少しており、後継ぎがいなくて困っている職人もいる。
職人は難しいと思うが、地方に必ず必要な存在である。都心に目を向けがちになっている今だからこそ、地方の職人やまわりの職業を知るべきだ。
少子高齢化と住宅難の間にこんな風な関連があるといったことは、目から鱗でした。
東京に都市機能が集中している現代において、有力な仕事も同じように東京に集中している、しかし、東京に住居を構えることは困難であり、その周辺で交通の利便が高い所に集中する。埼玉や千葉がその典型ですね。
自分の田舎は、千葉県の中央部でしたが、成田空港がある関係で最新に近い技術を持った鉄道があり、東京に仕事を持つ人も多くいました。
この問題を解消していくためには、交通の便を良くし、人口の集中を緩和することが必要であるとかんがえます。
そのための工事により公共事業も増え、働き口が様々なところで増えるはずですし。
今の時勢子供を育てるのは大変だと思います。例え安定した職があっても、3、4人の子供を育てるのも共働きであることのほうが暮らしやすさは段違いだと思います。
そこで待機児童の問題や、共働かせざるをえない状況は、少子化に十分つながってると思います。
ただ、人が集まることは良いこともあります。人が集まればものも集まり、知識も集約され、世の中の発展には非常に有効だとおもいます。なので、首都を拡大して土地を確保するのも、一つの手だと思います。
私は新聞などで人口減少時代に入ったにもかかわらず、東京都、特に23区を中心に人口が増加していることを知っていた。しかしそれが少子高齢化とつながっているものと今回初めて知った。
生まれてからずっと大都市に住み、便利さに慣れてしまった私は地方へ行くたびに不便であると感じてしまうことが多い。このように1度地方から都会へ移住した人を再び地方へ戻ってきてもらうことは非常に難しいと思う。このブログを読んで地方の人口増加にはには安定した雇用という安心感が絶対条件であると思えた。
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