姫崎由美展「gifted-誰かが誰かを思うこと-」から
先日、新宿ニコンサロンの作品展を見てきました。第15回酒田市土門拳文化賞に輝いた姫崎由美展「gifted-誰かが誰かを思うこと-」です。NHKのニュースでは、ご本人をまじえた紹介もされていましたから、ご存じの方も多いでしょう。
姫崎さんは松本路子主催の写真ワークショップ「エムズ・ワークショップ」に参加された後、現在、東京都渋谷区にある知的障害者のグループホーム職員をされている方です。
何年かかけてお仕事の傍らシャッターを切り続けてたまった、障害のある人のポートレート数百枚の中から、モノクロ30枚の組写真にまとめられた作品です。実に素敵なポートレートです。ここでお見せできないのは残念ですが、酒田市土門拳記念館のホームページから「土門拳文化賞」のページに入っていただければ、この中の3枚だけは観ることができますので、まずはぜひそれをご覧になってくださればと思います。
http://www.domonken-kinenkan.jp/
姫崎さんの作品をじっくり観ていると、心温まる気持ちに覆われてきました。それは、土門拳『筑豊のこどもたち』(築地書館)にあるような生活現実に迫る社会派リアリズムではなく、最近若い人たちに流行っているといわれている「ゆるい写真」でもありません。姫崎さんのポートレートには、撮影者と被写体となった障害のある人の親密な関係性がそのまま映し出されているリアリズムを感じました。どの写真も、シャッターを切った瞬間に、緑のそよ風が二人の手を添え合わすような、清清しさやうららかさを写し出しています。
障害のある人の表情は柔らかく、「はいチーズ」「1+1=2」で作り出された笑顔ではありません。作者は、「会えてよかった!」と思える瞬間にシャッターを切り続けたと言います。
新宿ニコンサロンにおけるこの作品展の解説文より、一部ご紹介します。
「彼ら(知的障害のある人たち)がそこにいるだけで、この生きにくい社会の中に確実にゆるやかな空気を生み出している。もちろん健常者たちと同じ現代社会に生きているので、そばにいればお互いの感情に行き違いが生じることもあるが、誰かが、その人たちのことをいつも心のどこかで気にかけ、思いやると言うコミュニティが、彼らを中心に形成されていることは確かだ」
姫崎さんの作品から、私はグループホームという暮らしの場に築くべき親密圏の真髄を学んだような気がします。抱え込むのでもなく、「この人にこうあってほしい」という支援者の「願い」を、強迫的で暑苦しい関係性に転化させるのでもない「専門性」が、暮らしの場である親密圏における支援には問われるのでしょう。
コメント
5月27日の授業は虐待についてでした。授業の中のミーティングでさまざまな要因を取り上げました。
例えば、親と子供が長い間一緒にいると嫌になってしまう、自分も子供のころに虐待を受けていたなど。自分たちはごく普通の家庭に生まれ虐待を受けたこともなく、正直なところ虐待をしてしまう親の気持ちは詳しくはわからないと思う。
しかしながら、親がなぜ虐待をしてしまうのかを考えるだけでも自分たちが親になった時に必ず役に立つだろうと思った。
自分たちは虐待の裏側をまったくと言っていい程知らないと思う。それを知ろうとすることも自分たちには大切なのだと思った。
僕も虐待についてで、虐待された親が子供に虐待するのが信じられないということで、自分は嫌な思いをしたのに何故それを繰り返すのか分かりません。
でも、子供には死ぬまで親が必要なので、そういう親子には長い時間かかっていいから関係を修復してほしいとおもう。
親に厳しく育てられた人が子供を厳しく育てるように、虐待されて育った人が虐待を繰り返してしまう状態はなんとなくわかる気がしました。
自分の親以上に子供に愛情を持って受け止め、自分の親とは違った、子供に当たらないの心の処理方法を見つけて自分を管理していくのは、もし誰か支えになるものがない環境にいたとしたら難しいのではないかなと想像しました。
そうやって子だけでなく、親も自分のやってしまうことや自分の不幸に今でも苦しんでいることを考えると本当に気の毒で、もっと虐待をしてしまう人に対する理解が広がって、周囲の人が気づいて助けてあげられればと思いました。
はじめまして、宗澤先生。
わたしは福祉を学んでいる50歳台の老学生です。ここで紹介されている姫崎さんの作品を拝見して、彼(彼女)らの穏やかで優しい心根が伝わってきてとても感動しました。
10数年、障がいのある人たちの表現活動をサポートする市民活動に参加し、その活動のなかで記録担当として写真や動画を撮ってきましたが、あらためて自分自身のまなざしの未熟さを痛感し反省しました。
写真は撮影者と被写体との関係性が如実に反映されるものなので、撮影する相手との信頼関係がとても大切だと考えてきました。だからこれからもより一層相手を理解し、受け入れ、そして相手が信頼を寄せてくれるように頑張りたいと思います。
わたしの撮った写真が彼(彼女)らの存在を多くの人たちに知ってもらう一助となればと、精進していきます。
サンドイッチ型”のダイヤル構造:パネライ店舗の壁の一部として、大きな壁の時計はパネライの時計のユニークな特性を示してハング。
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