「本物の仕事」であること―メール便宅配事業から
さいたま市の浦和北宅急便センターでは、知的障害のある3名の「メイト」さんたちがメール便配達の作業を行なっています(このうち1名は、一般就労への就職が決まったばかりで、私の見学時は2名でした)。
これは、(財)ヤマト福祉財団の「障がい者のクロネコメール便配達事業」によるものです。小規模作業所の中で行なうメール便配達事業が一般的な実施形態ですが、ここでは施設利用者が宅急便センターに出勤して働くという形で実施されています。2007年4月から始まった、クロネコヤマトと社会福祉法人鴻沼福祉会の新しいコラボレーションの取り組みです。
浦和北宅急便センター
スワンベーカリー北浦和店(2)
では、この美味しくて豊富な種類の焼き立てパンは、どのようにして作られるのでしょうか?
まず、町のパン屋さんの食味はパン生地が命です。そこで私が抱いた疑問は、スワンベーカリーのパンがタカキベーカリーのアンデルセンから供給される冷凍生地を使っていることにありました。さまざまな種類のパンを実際に味わってみると、パンごとに食感・風味・表面の焼きあがり方が異なります。このからくりをうかがってみると、パンの種類ごとに特定のパン生地・食材(調理パン・菓子パン用)・レシピがアンデルセンから提供されるそうです。つまり、パンの種類ごとに最適化された品質のパン生地が、食材・レシピとセットにされてアンデルセンから提供される仕組みです。
このシステムのアドバンテージは、本格的で豊富な種類のパンを障害のある人が作ることを可能にした点にあります。
それでも、パンごとにレシピは異なりますからパン作りの作業の実際は複雑で、それをどのようにすすめるのかが次の疑問です。最初の画像にご紹介したTさんは、スワンベーカリーに勤めて2年を超えるベテランで、販売のほか調理場で揚げ物を担当されています。揚げ物の手順は、揚げ物の種類によって異なる調理時間(たとえば、コロッケパンに使うコロッケなら油に浸す時間は「8分30秒」というように)と、その日の売れ行きによって変化する揚げ物の個数を指示書で確認してから、Tさんは仕事にとりかかります。
パンの種類ごとに異なるレシピ―調理場に貼られた指示表
スワンベーカリー北浦和店(1)
お店のシンボルカラーはブルーです。白鳥が羽を休める静かな湖面を想い起こさせるようなブルーの彩りと焼き立てパンの芳香を街角に添えて佇むスワンベーカリー北浦和店。JR京浜東北線の北浦和駅から東へ徒歩4分(浦高通り沿い)のところにあります。
スワンベーカリー北浦和店
親の働く姿を見たことのない2世
「♪月が出たでた 月が出た♭」
よく知られた炭坑節の一節です。かつてこの歌が威勢よく唄われていた筑豊は、炭鉱の閉山以降、生活保護率が高原状態のままで推移する日本有数の貧困地帯を形成してきました。現在でも地区によっては2割前後の生活保護率を維持しています。この画像は、2001年度をもって石炭六法の失効する直前まで残っていた筑豊のある炭鉱住宅です(1999年A氏撮影)。
先日の読売新聞(3月3日付、東京本社版)は、生活保護に関する3つの記事を掲載しています。同新聞社が東京23区と17政令市に調べたところ、生活保護の申請は6割増加し、生活保護担当のワーカーは心身の疲労から悲鳴をあげているとの報道です。この現状に対して、日本女子大学の岩田正美教授は、職業訓練とセットで支給されるドイツの生活扶助の例を引用しながら「再び自立して働けるような機能を果たす公的扶助を整備する必要がある」と指摘されています。
筑豊の炭鉱住宅街―貧しさの中にも支え合いが