麻雀とデイケア その1
大学院生の時代、ある先生の紹介から、精神障害デイケアのワーカーとしてバイトをすることになりました。
1980年代の初頭、全国の政令指定都市に限られた精神障害のデイケアが実施されていました。当時、わが国には精神障害のある人に対する本格的な福祉サービスはなく、このデイケアは政令市だけで実施されていた「パイロット事業」のようなものでした。
1950年施行の精神衛生法による政策は、長い間、入院中心主義に偏重していましたから、84年の宇都宮病院事件を契機にした国内外の人権擁護への声の高まりを受けて、87年の精神保健法への改正から、95年の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律にいたる経緯の中で、ようやく地域精神医療と地域生活支援に向けた歩みをはじめることになります。
このようにみると、49年の身体障害者福祉法と60年の知的障害者福祉法との対比で、わが国の精神障害のある人への支援策がいかに後回しにされてきたかが分かります。
白杖と「777」
ある日の夕暮れのこと。JRの駅を降りて家路へのバスに乗ろうと歩いていると、白杖をつく青年の歩く姿に眼がとまりました。この青年はほどなく、駅前のパチンコ屋に入っていきました。
私は、彼がどのようにしてパチンコをするのかを確かめたくなり、彼の後を追って私もパチンコ屋に入ったのです。
ある介護体験から
私よりも30年配の「闘士」。
若い頃は車椅子を使っておられましたが、加齢とともに全身性の不自由が進みました。この方が車椅子を使っておられた時代のエピソードです。
道路を横断しようとしたら歩道橋しかなかったために、仕方なく車の往来を避けて道路上を横切ろうとしたそうです。突然、警官が「こらっ、ここは横断禁止だ」と怒鳴ったため、「『こらっ』とはなんだ、自動車の方こそ往来禁止にしろ!!」と応戦したとか。障害のある人への差別と偏見の著しかった戦争直後の時代から、権利保障を前進させる運動に参加していた方です。
全盲の人と音楽(世界編)――ルイ・ブライユからマーカス・ロバーツ 3
(先週のブログからの続き)
当時、マーカス・ロバーツのアルバムはCDしか出ていなかったため、後にDVDで発売された『ヴァルトビューネ2003ガーシュイン・ナイト』(GENEON)によって、マーカス・ロバーツの演奏をじっくりと視聴する機会を得ました。
このアルバムは、ジャズのマーカス・ロバーツ・トリオ(ピアノ:マーカス・ロバーツ、ベース:ローランド・ゲリン、ドラムス:ジェイソン・マルサリス)と小澤征爾指揮のベルリン・フィルハーモニーとの夢の協演を収めたすばらしいDVDです。クラシック・ファンかジャズ・ファンかを問わず、クラシックとジャズのコラボレーションを最高度の演奏で堪能できます。特に「ピアノ協奏曲へ長」では、トリオやマーカスのソロにインプロビゼーションが入り、溜息が出るような演奏でした。複雑なリズムの曲で、しかもマーカスは小澤のタクトを視認できないにも拘らず、オーケストラとピアノの息がぴたりと合っているのもすばらしい。