ウサギとカメ
私の記事へのコメントは、ちゃんとチェックしていたつもりだったのですが、お返事を差し上げていないものがあったことが判明しました。コメントを頂戴してから幾月もたってしまい、本当に申し訳なく、深くお詫び致します。年の締めくくりの月でもあり、遅きに失しますが、お返事申し上げます。
一つめは、「一般向けの講演会はしているのか」とのお問い合わせです。(「敬老週間に思う」2013年09月19日)
一般向けの講演会のご依頼はとても少ないのですが、お話しさせて頂くときは大抵、「傍観者にならないことが、虐待予防のみならず、住み良い街づくりにつながる」ということをお伝えするようにしています。
二つめは、私が「日本高齢者虐待防止センターを辞めたのか」というお問い合わせです。(「終結事例検討のススメ」2013年10月17日)
辞めたわけではないのですが、日本高齢者虐待防止センターは、本邦初の全国規模の調査、専門学会の設立、法の成立などに深く関わり、一定の役割を果たしたとして、解散しました。しかし、より発展的に活動したいと、新たなセンターの開設の準備にあたっているところです。
三つめは、新しい施設で働いておいでの方からです。注意力散漫とコミニュケーション下手のため、上司から「全体を見る視野がない」と言われたり、一度聞いたことを確実にできなない不甲斐なさを感じたりしてきたそうです。そして、注意しようと心がけるほどに空回りし、何をやってもダメなまま介護経験が三年を経過し、今では、どうしたらよいか分からず、自分には向いていないかと思い始めている、とうことです。(「初めてご質問を頂きました」013年06月20日)
詳しい事情が分かりませんので、無責任にあれこれ申し上げることができません。そこで、気休めに過ぎないかもしれませんが、私自身のことを記すことにします。
私は、ウサギとカメの寓話でいえば、子どもの頃からずっとウサギ・タイプです。
まずは、何といっても働くときと働かないときの差が極端です。そして、働かないときのほうがずっと長い怠け者です。
また、努力が苦手で飽きっぽく、何をやっても長続きしません。そして、できないことは、すぐ才能のせいにします。子どもの頃、水泳をやっていたのですが、思うように記録が出ないと、すぐに「才能がない」とボヤくので、コーチから、「才能がどうこう言えるのは、日本で一二を争うようになってからだ!」と叱られたものです。
にもかかわらず、私は思い上がりが強く、学生時代のテストについて、よく「間違っているのは自分の答えではなく、問題の方だ」と言っていたそうです。
これでは、およそ社会人失格で、仕事の向き不向きもあったものではありません。そのため、私は今、「人は誰でも磨けば光るダイヤモンドの原石だというが、自分の磨き方を誤った」と、つくづく思い知っています。
この点、私には忘れられない人がいます。
介護職員の彼は、良い学校を出ているわけでも、仕事がそつなくこなせるわけでもありませんでした。その後、ケアマネジャーを目指しますが、試験に受かったのは6回目のことです。彼は今、地域包括支援センターに勤務し、社会福祉士の試験に何度も挑戦し続けています。
本題は、彼の仕事ぶりです。おそらく、良い学校を出て試験も一回でパスする人々でも、その多くは彼に遠く及ばないと思います。それは、彼の仕事ぶりが、まさに宮業賢治の「雨ニモ負ケズ」さながらであり、利用者や家族から、絶大な信頼を寄せられ続けているからです。
彼は、典型的なカメ・タイプだと思いますが、彼は、きちんと自分を磨き続け、今や光を放つダイヤモンドになったのではないでしょうか。
もっとも、一人ぼっちは、いかにも寂しすぎますし、頑張り過ぎて鬱になってもいけません。コメントを下さった方も、良き第三者に支援を求め、ご自分を磨いていって頂きたいと思います。必ずやダイヤモンドの光を放つ日の訪れるであろうことをお祈りしています。
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