出会い、介護の世界
2007年08月06日 13:00
人の考え方や行動パターンは、さまざまな縁に起因します。
私の父は上州(群馬)生まれで、酔えば幼い私をおぶって「♪泣くな妹よ妹よ泣くな…」(赤城の子守唄)や「♪男心に男が惚れて…」(名月赤城山)をよく歌ったものです。だから私の父親像も憧れの対象も、国定忠治を代表とする渡世人でした。
渡世人でも堅ぎでも、生きる世界には表も裏もあり、白か黒か、善か悪か、勝ちか負けかでは割り切れません。割り切れないから、遣り切れないのです。その遣り切れなさ、哀しさの中に、奥深さや面白みもあります。
子どもの頃からアイドルや正義の味方的なヒーローに興味がなかったのは、影のない明るさや単純さが面白くなかったからだと思います。私が魅かれるのは、矛盾を抱えなからも、懸命に真っすぐ生きようとしている人です。法の定めや世間の常識・評価ではなく、人の情や自らの矜り(ほこり)に従って生きる人。たとえば浅田次郎著「壬生義士伝」の“吉田貫一郎”だったりします(浅田次郎が描く渡世人、落ちこぼれの武士、盗人はみな魅力的です)。