彼らを主体・主役に、そして彼らと共に
2007年04月30日 16:39
ある知的障害者授産・更生施設に行ってきました。利用されている約80名の方の平均年齢は54歳だそうですが、「障害のある方の場合は、実年齢に20歳をプラスして考える」といわれるので、かなり高齢化が進んでいることになります。
「介護が必要となっても最期まで看ることができるよう、今のうちに介護の勉強をして力をつけておきたい」と、企画された研修会に呼ばれたのです。しかも、3月に退任された前施設長が、退職金から置土産にと費用を出してくださったとのこと。心引き締まる思いで出かけていきました。
施設に足を踏み入れると、利用者が近づいてきてあいさつをしてくれ、自ら名乗って私の名前を尋ねたり、握手を求めたり、得意芸を披露してくれたりと、全身で歓迎してくれました。皆の明るさ朗らかさ、率直さ、屈託のない笑顔、仲間を気遣い助け合う姿が眩しく、「心に光が射し込み満ちるようだ」と感じました。
ふと「『この子らに世の光を』ではなく『この子らを世の光に』」の言葉が思い浮かびました。誰の言葉だったか?……自宅に戻って調べると、それは「近江学園」を設立した糸賀一雄先生の言葉でした。その発見の瞬間の鳥肌がたつような感慨の深さ、なぜならその施設こそ、糸賀先生が、制度もない頃私財を投じて開設した施設でした。「この子らを…」の言葉が閃いたのは偶然ではなかったのです。
記事に感銘し切り抜いて保存してから10余年、こうして本物に出会えるとは、飛び上がりたいくらいの感動。「彼らを主体・主役に、そして彼らと共に」の取り組みが、どれだけ双方を生き生きさせ豊かにするか、介護の原点を教えられた2日間でした。(下山名月)
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