感動と感謝の島、屋久島
2007年04月09日 09:57
先日、初めて仕事で屋久島を訪れました。仕事に島内観光付きというありがたい旅でした。周囲約130キロの島にそびえる、九州最高の峻険な峰々。花崗岩の一枚岩を一気に落下する滝の水量。屋久杉と照葉樹が混生し、うっそうとした原生林。それらのスケールの大きさと圧倒的な迫力に鳥肌が立ち、言葉を失いました。
観光中は屋久島の魅力に没頭し、仕事を忘れようと思っていたものの、いつのまにか“見る・聞く・触れる・感じる”ものすべてが「介護」に重なりつながってしまうのでした。介護=人間=生老病死=自然だから仕方ない。(腰が)曲がろうが、皺がよろうが、忘れようが、懸命に生きているお年寄りの姿は屋久杉に重なり、樹齢1000年以上が“屋久杉”で、それ以下は樹齢800年でも“小杉”には、「ハハァ」と頭を垂れ跪く感じ…それはちょうど、長老の前に立ったときの気持ちと同じ。島民が昔から行ってきた、山に入り山から糧を得る許しを請う儀式や祈りは、自然に対する感謝と畏れ。介護に携わる私たちの勘違い、驕り、不遜な言動を思い起こしハッとするのでした。
「ひと月に35日雨が降る」(林芙美子作『浮雲』)という屋久島。雨は山を下り海に流れ込み、黒潮は太陽に温められて空へ昇り、冷やされて雲になり、再び雨となって大地に降り注ぐ。この循環の中に私も生きている。生活も一生も自己完結しない。雨に救われ雨に育てられてきた。私も誰かのための雨になったことがあったかもしれません。もっと涙を汗を流そう。そうして雨になりたい。
屋久島は「感動」と「感謝」の島でした。しかも滞在中の3日間は晴天に恵まれました。屋久島と今回出会った皆さん、ありがとうございました。
(下山名月)
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