監獄から社会へ(最終回)
ブログを始めたちょうど2年前、2つの意味をこめてこのブログタイトルを考えました。
一つは、「刑務所(監獄)から出所して社会に出てくる受刑者をどのように私たちが受け止めるかということをみんなで考えていきたい」ということ。
もう一つは、「監獄からの情報やメッセージを社会へ、たくさんの人に届けたい」ということ。
監獄人権センターにはたくさん相談が寄せられるのですが、毎回、書くテーマを選ぶのに苦労しました。
なぜならば、このブログの中心になっている話題は、受刑者が直面している問題、個別的な事情に基づくことばかりで、なかなか一般化して回答することが難しいものばかり。そこには重要な個人情報が含まれているからです。
多くの受刑者にとっては、刑務所に収容されていることは、誰にも知られたくないことであって、最も保護しなくてはならない個人情報です。
このブログで監獄人権センターに寄せられる具体的な事例を取り上げると、個人が特定されてしまうことがあるため、なかなか紹介することができませんでした。
それでも、これから福祉の仕事に就く人、福祉に関心がある人に少しでも刑務所の中の様子が伝わればと思い、そして、受刑者も私たちと同じ血が通った人間なんだということを知ってもらいたいと思って書いてきました。
このブログでも何度もお伝えしましたが、いずれ社会に戻ってくる彼・彼女たちをどのように社会の一員として受け入れるのか、このことを社会全体で考えていく必要があると思っています。
出所して働くことができる人はハローワークや住宅供給の部署とつなげたり、高齢の方、障がいのある方は福祉につなげたりと、これから、もっともっとワーカーさんの役割は重要になってくるのだろうと思います。
日本の経済界でも、出所者の雇用促進や就労支援の検討がなされているようですが、そこには企業の協力が欠かせません。もっというと、企業がもっと積極的に出所者の就労問題に取り組む必要があるのかもしれません。
海外では、交通事犯や軽微な犯罪の場合には、受刑者は夜や休日のみ刑務所で暮らし、平日の昼間はそのまま会社で働き続けられることがあります。重い罪の場合でも、刑務所での受刑態度が改善されるにしたがって、資格取得や外部通勤を積極的に認める政策を取っている国もあります。
日本では、このようになるまでの道のりはまだまだ長いのかもしれません。しかし、このような政策は受刑者の円滑な社会復帰と再犯防止につながるのではないかと思います。
「排除」するばかりでは解決できず、何らかの形で社会の構成員として「包摂」していく、これからもこのような思いを持ちながら、受刑者の支援活動を続けて行きたいと思っています。
2年間、長いようであっと言う間でしたが、これまでこのブログを読んでくださいましてありがとうございました。
またどこかでお会いしましょう!
コメント
秋山さん、2年間ありがとうございました。
私の身内に受刑者がいました。出所したらどう向き合ったら良いのか戸惑っていました。秋山さんのブログと出会えたことで、『家族に迷惑掛けたくせに・・・。』など強く思っていたのが減ってきました。
出所後、無事社会に出て働いています。大きな十字架を背中にありながらも、前進して生きています。何人も人権を保障される世の中であって欲しいと思います。
本当に有難うございました。
秋山さん、
2年間、お疲れ様でした。
らんさん、海野さん
ありがとうございます。
2年間、長かったようであっという間でした。自分なりに頑張っていろいろお伝えしてきたつもりですが、まだまだ伝えきれていないこともたくさんあるかもしれません。
また何かの機会にお伝えできればと思っています。
秋山さん、これまで折にふれて、ブログを読ませていただいてきました。どうもありがとうございます。
先日の、監獄人権センターのニュースレター発送のお手伝いの際には、秋山さんのブログを読んで来た、という福祉関係の方とご一緒しました。このブログによって蒔かれた種が、大きく実を結ぶとよいですね。ほんとうに、お疲れさまでした。
久しぶりにのぞいてみたら最終回だったのですね。これからも獄中者の処遇に付いて、社会に広く知らせて下さい。
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