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秋山映美の「監獄から社会へ」

失敗してもやり直せる社会

 私のブログにもときどきコメントが寄せられますが、出所しても仕事を見つけるのに苦労している元受刑者はたくさんいます。
 今の日本では、そうでなくても仕事を見つけるのが大変ですが、社会から何年も遠ざかってしまうと、よりいっそう困難な状況になってしまうことが想像できます。

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 社会復帰をするためにも外部の社会とのつながりは大切です。
 このブログでもこれまでお伝えしてきましたが、受刑者の手紙や面会の回数は限られていて、さらには面会の相手もほとんどの場合親族しか認められないため、自宅から遠い刑務所にいる場合、家族も面会になかなか行くことができずに疎遠になってしまうこともあります。
 家族と縁が切れてしまうと、受刑者は、刑務官と他の受刑者以外は面と向かって話をする人がいなくなってしまうのです。
 友人との手紙のやりとりや、新聞や雑誌を読んだりすることもできますが、外の社会の様子はごくわずかしか得ることができません。

 監獄法が改正されて、被収容者処遇法の法律の条文では、面会の相手が家族以外にも拡大されましたが、規則などで様々な条件がつけられ、今では法改正前とあまり変わらない状況になってしまいました。
 最近では、手紙のやりとりする相手も事前に届け出が必要になっている施設もあると聞きます。
 これでは、出所のときに誰も頼る人がいなくなってしまい、路頭に迷うかまた刑務所に戻ってくるしかなくなってしまいます。

 このような状況を避けるためにも、もっと友人との面会の要件を緩和する必要があると思います。
 あるいは、全員に実施するのは難しいかもしれませんが、特に問題のない受刑者に対しては、海外の刑務所のように、一時帰宅や外出などを積極的に認めたほうが受刑者の社会復帰にとって良いのではないかと思います。

 一般的に、家族がいたり、仕事があったりと、外の社会とのつながりが強いほど受刑者は再犯をする可能性が低いといわれています。
 監獄人権センターのような小さな団体では就労の機会を提供することは難しいのですが、受刑者からの相談にアドバイスをし、同時に受刑者の置かれている状況などを社会に伝えていくことが私たちの役目だと思っています。

 今刑務所にいる受刑者は、その大半がいずれ刑期を終えて出所します。
 やがて社会に戻ってくる彼らを、私たちがどのように受け入れたらいいのかみんなで考えていかなくてはなりません。
 外の社会とのつながりを強くするためには、受刑者の家族だけでなく私たちももっと受刑者の状況に関心を持つ必要があると思います。


コメント


知人が受刑者です。家族や友人と疎遠になり、頼れるのは、わたしだけです。
家族に知れずに手紙のやりとりできる方法はないでしょうか?
手紙のやりとりが唯一の楽しみだと思うので、他に手紙のやりとりできる人はいません。
この事を家族には心配かけたくないので話せません。本人には、なんとか立ち直ってもらいたいのです。
良い方法があればお願いいたします。


投稿者: さくら | 2012年06月23日 01:16

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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