震災から4週間がたって
2週間前、3週間前に東北地方の刑事施設についてこのブログに書いたときには、まだあまり情報がなかったのですが、その後、ニュースでも東北地方の刑事施設について報道されるようになりました。しかし、石巻拘置支所については、その後もまだ正確な情報はありません。
3月29日の朝日新聞の記事によると、福島県のいわき拘置支所と郡山拘置支所に収容されていた人たちは東京や栃木の施設に移送されたとのことです。郡山拘置支所については、3月中に元の施設に収容者を戻すと記事に書かれていましたが、その後どのようになったのかは不明です。
また、同じ日(3月29日)の毎日新聞では、震災後に、福島地検の本庁、いわき支部、郡山支部で被疑者を釈放したとの報道がありました。
福島県は、地震や津波の被害に加えて原子力発電所の問題もかかえているため、行政も今は本当に大変な時を迎えているのだと思います。そのような中、十分に対応できないということで被疑者を釈放したのかもしれませんが、ライフラインも復旧していないこの時期に、行くあてがなく釈放された人たちは、どのようにしているのかとても心配です。
その後、釈放された被疑者のうち1人がコンビニの事務所に侵入したということで再び逮捕されたようですが、そこで、この釈放が間違っていたのではないかとの議論が起こっています。
2011年4月6日 福島民友ニュース
このような状況でなくても、出所した人の中には、行くあてもなく、お店で食べ物などを盗んでしまい再び逮捕され、刑務所へと戻ってしまう人もいます。
この事件についてはあまり詳しい情報がないので、想像にしかすぎませんが、今回のようにまだ社会全体が不安定なときに釈放され、行くあてもないのであれば、このようにせざるをえなかったのかもしれません。
私も震災直後は、地震による建物の被害や停電、原発の影響のことなどを考えると、仮釈放できる人は仮釈放した方がよいのではないかと思っていましたが、地震と津波の影響を受けた町に受刑者が行くあてもなく放り出されたとしても、行くところを探すのは非常に難しいのではないかと今は思っています。
とはいえ、刑務官の皆さんもご家族が被災されたり、自宅が損壊された方がいらっしゃるのであれば、そのような状況の中で収容者を看るのは大変なことだと思います。
せめて、被災した地域以外の刑務所で帰住地(出所して住むところ)が決まっている受刑者で、ある程度の期間服役した人を仮釈放して、そのかわりに被災した地域の刑事施設から受け入れるといった対応をとることはできないのだろうかなどと考えたりもしました。
【監獄人権センターからのお知らせ】
4月13日(水)11時30分~「刑事被収容者処遇法全面改正を求める院内集会」を開催します。
日弁連と監獄人権センター、アムネスティ・インターナショナル日本などからなる市民団体が共催しています。(事前申込が必要です)
http://cpr.jca.apc.org/about/event#1030
問い合わせ先:日本弁護士連合会 法制部法制第二課(電話03-3580-9925)
コメント
福島刑務所に知人が収監されておりましたが、4月28日に横浜刑務所に移送された旨の連絡の手紙が本人から届きました。
全ての受刑者が各地へ移動させられたのかは不明です。手紙が受け取り人不在で戻っていたので安否確認の為に福島に電話しても全く教えてもらえなかったようです。家族に対しての対応もひどいものです。
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