ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
秋山映美の「監獄から社会へ」

東北地方の刑務所の被災状況

 3月11日、私は品川駅近くのビルの4階にいましたが、揺れがすごくとても驚きました。その日は帰宅することができず、そのビルで一夜を明かしたのですが、直後からテレビに映し出されている光景に驚き、地震の被害の状況が明らかになるにつれて、恐ろしくなってきました。

 東北地方、北関東地方には刑務所がいくつもあります。宮城刑務所、福島刑務所、福島刑務支所(女性を収容)、盛岡少年刑務所、栃木の黒羽刑務所、喜連川社会復帰促進センター、栃木刑務所(女性を収容)など、また拘置所もたくさんあります。
 しかし、テレビではまったく刑務所に関する報道はありません。特に、宮城刑務所は仙台市若林区にあるため、若林区が津波の被害にあったというテレビの報道を見て少し心配しています。

続きを読む

 以前、監獄人権センターのセミナーの最中に地震が起こったことがありました。ちょうどゲストが山本譲司さんで、黒羽刑務所での地震の体験を話してくれました。
 「受刑者は居室から簡単に逃げ出すこともできないので、大変怖かった」、また、「刑務官が『落ち着いてください』といいながら、廊下をばたばたと走っている姿を見て余計に怖かった」と言っていました。
 今回の地震は揺れも強く、すぐに津波が押し寄せてきたので、収容されている人たちは、とても怖かったのではないかと想像しています。

 震災後に国会議員のところに入った情報によると、刑務所の職員、収容者ともに大きな怪我の報告は今のところないとのことです。
 しかし、建物の被害が深刻なところもあるようです。
 宮城刑務所は建物に亀裂が入り、一部の部屋では受刑者を収容できない状態のようです。宮城刑務所の定員は1000人で、仙台拘置所や少年院が隣接しています。現在、自家発電と備蓄していた食糧・水などで何とかしのいでいるようですが、ライフラインにだいぶ被害があることが予想され、これ以上物流が滞ると今後の生活が厳しい状況にあるようです。
 栃木県にある黒羽刑務所も建物に亀裂が入っていて、保安警備上懸念があるとされています。
 宮城刑務所は医療重点施設であり、また、黒羽刑務所は障がいのある受刑者を収容しているということもあり、自家発電の燃料切れが生じた場合、人工透析や人工呼吸など医療措置に大きな支障をきたすことが予想されます。
 さらに、福島では原発事故により広い範囲で避難指示がでています。福島市にある刑務所はまだ避難指示が出ている区域ではないものの、心配です。

 中越地震のときは、新潟刑務所はなんとか大丈夫だったようですが、震源に近い少年院の建物には被害があり、近隣の少年院に一時的に移動したとのことでした。
 今後は、宮城刑務所、黒羽刑務所などの受刑者も移送する必要があるかもしれません。

 震災後に宮城刑務所に面会に行かれた方の報告によると、現在、面会は中止、手紙のやり取りもだいぶ滞っているとのことです。ご家族が宮城刑務所や黒羽刑務所にいらっしゃる方は大変心配しているのではないかと思われます。
 まずは、私たち監獄人権センターに連絡が入っている刑務所の状況をお知らせいたしました。
 なお、17日から仙台拘置所では面会を再開したそうです。宮城刑務所の面会再開は未定だそうです。
 詳しくは、仙台で加害者の家族などの支援活動をしている「ワールドオープンハート」(WOH)のブログをご参照ください。
 WOHはメンバーも被災されて大変な状況のようですが、相談活動も継続しているようです。

 3月11日の地震では、刑務所だけでなくたくさんの方が被災されました。被災された方の無事をお祈りし、皆さんの笑顔が一日でも早く戻ることを願い、今私たちにできることをしていきたいと思っています。


コメント


東日本大震災の刑務所に関しての情報で やっとまともなプログに出会えました 無責任な発言の情報プログの多さに怒りを感じています
0311以前に放免になった人たちは また以降に放免予定だった方はどうされてるか心配です。社会復帰を誓って出られた方も出た途端の惨状に途方に暮れてるのでは 家族との再会に胸を膨らませた方も 刑務所は無事の情報で、違う意味でほっとする世間の心情が 情けないです
法律で決められた日までは絶対に出さないくせに、その日が来ると絶対に出すのでしょうね 


投稿者: 関西0117 | 2011年03月21日 13:54

宮城刑務所は無事です。その隣にある東北少年院や青葉女子学園も大丈夫でした。
今や逆に,法務大臣の命令で備蓄品を放出しているようです。
ただし,石巻拘置支所は津波にのまれたようです。情報では,帰ってくるように伝えた上,開錠して各自避難させたようです。全員帰ってきたそうですが...しかしながらこの件の確認はとれていません。報道もされていません。
確認してもらえないかと,東北に向かう知り合いの記者に依頼しておきました。

ソーシャルワーカー原田和明(A-unit)のブログ
http://harada-fukusi.cocolog-nifty.com/_swharada/


投稿者: 原田和明 | 2011年03月27日 15:00

福島刑務所なんですが
ほうれん草の放射能検出されてから
1日2,3食、食事に出されている状況です...


投稿者: 放射能 | 2011年04月16日 05:23

更生され社会復帰を目指しておられる皆様方の御無事を心からお祈り申し上げます。


投稿者: 古屋敷 一彦 | 2011年04月19日 21:44

受刑者(犯罪者)のために尽力してくれる方もおられるんですね。。

私は3回服役しました。前刑は福島で、考査生のとき宮城にいましたが、精神科の薬を出してもらえず、出所後に日本弁護士会にメールで訴えましたが「関係ない」という態度でしたね・・・。

現在の悩みは仕事がないこと、自信がないこと。

軽度の精神障害で、3度の服役期間があって、どうして就職できるでしょうか、私はそんなに要領のいい人間ではありません。

でも嬉しかった。だれもが目をそむけ、なににおいても後回しの懲役のために働いて下さる方がいることを知っただけでも収穫です。勇気が湧きます。私はキリスト教の教会に通っていますが、牧師ですら、前科を知ると・・・ですから。

ではまた。


投稿者: るーにー | 2011年05月03日 07:49

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books