刑務所の中の行事
私はずっと受刑者からの相談に答えたりしてきたので、具体的な質問があれば、「これはこうなっています」と回答できるのですが、ブログは質問がない中で書き始めるので、ときどき書くのに苦労することがあります。
そんなときは、このブログの担当者に「刑務所のことについて何か知りたいことありますか?」と聞くのですが、最近では「刑務所の行事について知りたい」とのリクエストがあり、さてどうしようと考えてしまいました。
なぜならば、監獄人権センターには毎月100~200もの手紙が届くのですが、そのほとんどは、相談の手紙。辛いことばかりで、刑務所の中の楽しいことや良かったことの報告はなく、行事に関する情報はあまりないからです。
なぜ、あまり楽しい報告がないのかというと、一つには、監獄人権センターは困ったときに相談するところだからというのもあると思います。
また、これは私の推測ですが、受刑者は毎月手紙を出せる回数が月に4回(これは受刑者の"行いの良さ"により異なります)などと決められていて、さらに、1回に発信できる便せんの枚数も制限されているので、相談以外の内容を書く余裕がなかなかないのではないかとも思います。
そのような中、私が知り得た限りでは、運動会はどこの刑務所でも行われているようです。
クリスマス、お正月などは、イベントというより、ケーキや年越しそば、お節料理などといった特別な料理が出る日となっているようです。
さらに、これはすべての刑務所で行われているのかわかりませんが、女子刑務所や初犯で刑期が短い受刑者が収容されるA級刑務所を見学したときに、桜の木があるところではお花見会をしていることを刑務官が説明していました。
これらのイベント以外には、定期的に講堂に歌手やコーラスグループなどがきてコンサートが開催されたり、映画が上映されたりしています。
八代亜紀さんや、刑務所慰問アイドルのPaix2(ぺぺ)は定期的に公演をしているようです。
ただし、これらの講堂でのイベントは、いわゆる"行いが良い"人が参加できる、ご褒美的なもので、行事というのとは少し違うかもしれません。
この何回かのブログで韓国の合唱団や台湾の文化活動を取り上げ、刑務所の中や外で発表する機会があることを紹介しましたが、それらと比較すると、日本の刑務所ではこのような心が豊かになるような取り組みはまだまだ不十分かもしれません。
「もっと受刑者が行事に参加できるようになれば、多くの受刑者の気持ちにも変化が見られるようになるかもしれない」なんて思いました。
コメント
このブログを読んで、元国会議員で、獄窓記を執筆した山本譲二氏のことを思い出しました。
こういうときに誰も注目しないけれど、被災地の刑務所とかの被害はどうなっているのでしょう?
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