フード・インク~トウモロコシについて
今回は、前回の続きで、トウモロコシなど農産物についてです。
アメリカでは、農地の30%がトウモロコシ畑で、収穫したトウモロコシはそのまま食料になったり、家畜の飼料になる以外にも、コーンシロップやケチャップなど、スーパーに並ぶありとあらゆる製品に使われているようです。
トウモロコシを使ったものといっても、私はトウモロコシそのものを使用した料理やコーンスナック菓子くらいしか想像していませんでしたので、このようにたくさんの商品に使われていることをはじめて知りました。
そして、そのトウモロコシの多くは、害虫に強かったり、除草剤に耐性のある遺伝子組み換えのトウモロコシなのですが、アメリカでは、遺伝子組み換えトウモロコシは食品のラベルへの表示は義務付けられていません。
日本では表示の義務がありますが、5%未満の混入は表示しなくてもいいことになっています。
ちなみに、遺伝子組み換え大豆の日本での栽培については今年の1月23日までパブリックコメントを募集していたようです。
農林水産省プレスリリース
遺伝子組み換えのトウモロコシや大豆を開発した企業は、特許を取得していて、農家が翌年の種蒔きのために収穫した作物を保存することを禁止しています。
企業としては、開発にお金がかかっているので、それを回収しなくてはならないのかもしれませんが、農家は、高いお金を払って翌年の種子を購入する必要があるなど、経営的に苦しくなってしまうこともあるとのことです。
また、遺伝子組み換えの種子を使っていない畑でも風で運ばれてきた種子によって交配がなされ、遺伝子組み換えの作物ができてしまうことがあるようです。このことが特許権の侵害にあたるのかどうかという争いも起こっているようです。
遺伝子組み換えの種子を開発した企業は農家を裁判で訴えたのですが、農家が敗訴して賠償金を支払わなくてはならないという判決もでているそうです。裁判官も企業に関係のある人がなっているためこのような判決がでるとのことですが、農家は、自分に非がないにもかかわらず、もっというと、自分の作っている作物が他の種子と交配し被害を受けているにもかかわらず、企業に賠償金を払わなくてはならないというのはひどい話です。
-労働者や動物に優しい、環境を大事にする企業から買うこと
-スーパーに行ったら旬のものを買う
-有機食品を買う
-ラベルを読んで成分を知る
-地産食品を買う
など、ほか6項目の提案と、先週の冒頭に紹介した「一口から世界を変えることができる」というメッセージが映画のエンディングで流れました。
先週紹介した畜産もそうですが、今回の農業についても、巨大企業が進出して工業化され、たった数社だけが儲かる仕組みになっていて、私たちの食卓に影響を与えているという現状について、知れば知るほど恐ろしくなります。
スーパーなどに行くと、ついつい安いものということで選んでしまいがちですが、この映画を見て、普段私たちが口にしている食料はどのようにして生産され、どのような経路で私たちのところに届くのか、知っておく必要があると思いました。
この映画は、渋谷のシアター・イメージフォーラムで上映していて、全国の映画館でも順次上映予定とのことです。
2月19日からは、ヨーロッパに舞台を移した食の映画「ありあまるごちそう」が上映されるようですので、こちらも見に行こうと思っています。
※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。