受刑者とアート
BIG ISSUE 156号に「犯罪者の絵画展」という記事がありました。50年近く受刑者などによる芸術活動を促進しているというイギリスのチャリティ団体の活動を紹介する記事です。
11月にロンドンで絵画展が開催されていたとのことですが、この取り組みでは、芸術活動に触れることが受刑者などに変化をもたらすという例も挙げられていました。
さらに、私にとっては、絵画展へ出品された作品の審査員としてかかわっていている犯罪被害者も受刑者らに対する気持ちに変化があったことを語っているのが大変印象的でした。
日本でも刑務所の中で芸術作品や活動にふれる機会がまったくないわけではありません。
たとえば余暇活動として、映画鑑賞や俳句、絵画などのクラブ活動などがあります。しかし一般的に、普段の行いが良くないと参加できません(「この行いが良い」というのも、大変恣意的なもので、不服申し立てなどをする受刑者は「反抗的」とみなされてしまう傾向があります)。
また、平日の夜や休日に余暇活動の時間が設けられていて、その時間は読書をしたり、手紙や絵を描くことができますが、使うことができる文具は色鉛筆やボールペン、サインペンなど限定されています。
それでも、監獄人権センターには、使うことのできる文具を駆使してイラストが描かれた年賀状や暑中見舞いのハガキがたくさん届きます。
言葉でうまく感情を表現できなくても、絵を描いたり何か作品を創ることで自分を表現することができるといわれています。
BIG ISSUEの記事によると、イギリスやアメリカでは刑務所を拠点とした芸術プロジェクトを実施することによって再犯率を低下させることができたという成果も報告されているとのことです。
日本の刑務所でも、受刑者へのご褒美としてではなくて、すべての人が創作活動や作品にふれる機会を持つことができるようにしたほうが良いのではないかと思いました。
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