刑務所マニア
ときどきこのブログのコメント欄で私の名前に「先生」とついていることがありますが、実は、私は弁護士ではないのです。
10年ほど監獄人権センターの活動にかかわっていて、自分ではただの「刑務所マニア」だと思っています。
私もそうですが、監獄人権センターも法律事務所に事務所を置かせてもらっているものの、スタッフは弁護士ではないので、法律相談には答えられないのです(命にかかわるような深刻な相談については、監獄人権センターの協力弁護士に相談することもあります)。
それでも監獄人権センターが必要なのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、刑務所の中は情報が限られているので、受刑者からは「法律の条文のコピーがほしい」とか、「刑務所の中の制度について法律ではどのようになっているのか知りたい」という問い合わせもたくさん寄せられ、監獄人権センターでは受刑者に必要な情報を提供しているのです。
お金がなければ六法全書さえ読むことができないので、受刑者は、自分たちを収容することを定めた法律や規則にどのようなことが書かれているのか知らない人が多いのです。
監獄人権センターで受刑者からの手紙を何千通も読んだり、出所者からの聞き取りを何度もしたりしているうちに刑務所内での生活についての知識が増えていきました。
受刑者からの質問に答えるために法律や規則、法務省が出している省令、法務大臣が出している通達などを調べていろいろな情報を得ています。
受刑者の相談に返事を書き始めたばかりのころは全くわからないことばかりでしたが、何年か対応を続けているうちに、どの法律や規則を調べればいいのかだいたい見当がつくようになってきました。
このブログで連載している内容も、私の頭の中に記憶されているものばかりではなくて、質問があったときに調べて書いていることもあります。
「刑務所マニア」には、いろいろな“弊害”もあります。刑務所シーンが出てくるドラマや、刑事ドラマを見ているとついつい、画面に向かって「これはちょっと違うよ」とか突っ込んでしまいます。
最近では、法務省の協力を得たり、現場を丁寧に取材して作られているドラマや映画もあります。先日も、刑務所を舞台にしたドラマをテレビで見ていたときに、雪の中、殺人をしてしまった受刑者が刑務所に向かっている最後のシーンで、つい、「この人はきっと旭川刑務所に向かっているんだよ」とつぶやいたところ、実際に旭川刑務所と看板が出てきて、一緒に見ていた家族に「刑務所マニアだね」と言われました。
コメント
「刑務所マニア」、いいですねぇ。「刑務所に関するプロ」とも言えるのでは?
私も含めて一般人は「六法全書」とは縁のない生活をしているのではないでしょうか。いきなり収監されたら、自分の持っている権利がわからなくて当然です。
私はミステリー小説のファンなのですが、時々素人の私から見ても「これは少年法があるから罪に問えないだろう」なんていうことが小説の原点になっていたり、ドラマでも「あり得ないでしょ、この話」なんていうものがあります。まぁ、娯楽としてはいいのでしょうけれど、マニアの方から刑務所の実態について教えていただけるこのブログは貴重です。
なにせ、日本はついこの間、やっと死刑執行の場を公開したくらい、情報開示が遅れていますから。これからも刑務所や受刑者の処遇についていろいろ教えてください。
監獄人権センターで手紙を読んで返事を書いてきただけなので耳で得た知識ばかりで、プロといえるほどではありません!
ニャン吉さんのおっしゃるとおり、刑務所内のことについてはなかなか情報が表に出てこないので、こうやってこのブログで紹介することで少しでも多くの方に関心を持っていただければ何かが変わるのではないかと思って書いています。
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