暑い夏、刑務所の中は
このところ熱い日が続いていますね。寝苦しい夜が続き、翌日朝起きるのに苦労しています。
刑務所の中はというと、ほとんどの施設には冷暖房の設備がないので、とても暑いはずです。
ちなみに、受刑者にはウチワは配布されているようです。
全国の刑事施設に関する統計的な数字はわかりませんが、熱中症で死亡する受刑者が毎年います。しかし、矯正統計年報の「死亡者の病名別 年齢」のデータを見ても、医療知識の乏しい私には、この統計資料を見ても何人くらいが熱中症で亡くなったのかはわかりません。
また、刑務所では、受刑者が死亡しても司法解剖などしないこともあるので、ガンや糖尿病など専門的な治療を受けている場合を除いては詳しい死因などがわからない場合もあります。少し前のことですが、2003年に国会議員の求めで死亡帳が公開され、疑わしい事例についてはカルテを確認しましたが、死亡原因は、ほとんどが心不全になっていて、解剖されて原因解明がなされていたのはほんのわずかでした。
最近では、ときどきニュースで、受刑者が熱中症で死亡したことが伝えられています。これは、監獄法が改正されて、各施設に視察委員が設置され、第三者の目が入るようになったからでしょうか。
普通の家でも冷房がないというところもあると思いますが、受刑者は私たちと違って、自由にその場を立ち去ることができないのです。自分だったら、耐えられるのか、想像しただけで無理かなと思ってしまいます。
以前視察した女子刑務所には、各部屋の天井に扇風機が設置されていました。そこは毎年、記録的な猛暑でニュースになる地域だからかもしれませんが、刑務所長が頑張って予算を確保したといっていました。
東京拘置所や新設されたPFI刑務所は、各部屋には冷暖房はついていないものの、廊下や刑務官が待機する場所などには冷暖房設備があって、その冷気が収容者の部屋にも流れてくるようです。
受刑者だからといって、やはり、熱中症で死亡者がでるほどの環境でいいというわけにはいかないと思います。
コメント
先ほど、ニュースで、「10年間、電気代が払えない為に電気を止められていた家の70代の男性が熱中症で亡くなった」という報道がありました。息子さんが氷を渡したけれども、ぐったりしてしまい、亡くなられたそうです。生活保護は受けず、亡くなった方の年金で2人で暮らしていた、とのことでした。
ニュースでは触れていませんでしたが、息子さんが無職であることには、たぶん、それなりの理由があるのでしょう。
刑務所にエアコンがないことは、初めて知りました。この暑い夏、もしかしたら、「蒸し風呂状態」になっている刑務所もあるかもしれないですね。熱中症になって死亡する方がおられるのも、うなずけます。刑務所の中での死亡原因について、あまりにも扱いがずさんな気がします。
刑務所内での死亡後の扱いについては、「裁判」までは厳格なのに、なぜ、その後は随分といい加減なのでしょうか。万が一にも、「受刑者は死んでもいい」などと考える輩がいるとは考えたくもありませんが。
いくら、罪を犯したとしても、裁判によって、刑が確定し、それに従い、刑務所に入っているのですから、少なくとも最低限快適(言葉としてちょっと変ですが)な生活を送る権利があると思います。
この暑さで扇風機もない、ウチワだけ、というのは、言葉が過激かもしれませんが、「拷問」に近いのではないでしょうか。
暑さが1日も早くやわらぎ、熱中症で亡くなったり、具合の悪くなる受刑者が、1人でも少ないことを願います。
国際的な基準では、「受刑者も外部の社会と同じ水準の生活をおくることができるようにするべき」といわれていますが、日本ではなかなか理解を求めるのが難しいです。
外の社会でもたしかに大変な生活をしている人もいて、どうしても「もっと苦しい思いをしている人もいるんだから悪いことをした人は我慢するように」という論調になりがちです。
何事も苦しい状況を基準に考えるのではなくて、すべての人が快適に生活できる社会を目指して行きたいと思っています。
おひさしぶりです。
友人の元獄中者のブログで、「獄中者からの手紙に返事をください」という記事が載りました。ぼくも獄中者と文通していたので、なにかいいコメントを、と思っているのですが、今のところ、書けていません。とりあえずリンクします。
http://blogs.yahoo.co.jp/orisen0706/MYBLOG/yblog.html
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