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秋山映美の「監獄から社会へ」

刑務所の中の図書館

 先日、新聞の書評欄で「刑務所図書館」(中根憲一、出版ニュース社)が紹介されていました。ウェブ上でも本が紹介されています。
 私はまだ読んでいませんが、近いうちに読みたいと思っています。
 
 刑務所の図書館といえば、私は以前府中刑務所の図書館を見学したことがあります。
 府中刑務所には外国人受刑者がたくさん収容されているため、外国語の書籍もさまざま取り揃えられていました。
 そのとき一緒に見学した方はデンマークの人だったので、デンマーク語の書籍はどのくらいあるのか聞いてみたところ、当時は2冊しかないとのことでした。
 やはり、英語の書籍が多いようです。

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 書籍の閲読に関しては、大きくわけて、2つの相談があります。
 一つは、購入した本や差し入れてもらった本が内容的に問題があるとされ、不許可になったという相談。もう一つは、刑務所の本は古いものばかりであるという相談です。
 本が古いということについては、不満ではあっても、命にかかわるような深刻な人権侵害というわけではないためか、それほど多くの相談はありませんが、刑務所の中では情報が限られているので、最新の本とまではいかなくても、受刑者も新しい本を読みたくなるのだと思います。

 しかし、刑務所は書籍購入に予算をつけることが難しいようです。
 受刑者は刑務所の中から本を購入することもできますが、これはお金がある受刑者に限られます。しかも、私物は保管できる容量が決められているので、新しい本を購入するためには古い本を処分しなくてはならないこともあります。

 書評には、刑務所で新しい本を購入するのが難しいならば、地域の図書館の協力を得ることでだいぶ状況が改善されるだろうという提案がありましたが、私もそのように思います。
 私が小学生だったころ、毎週、近くの広場に移動図書館の車が来ていたので、よく本を借りに行きました。「移動図書館」とは、図書館を利用しにくい地域の人たちのために、車などに書籍や資料を載せて巡回するサービスのことです。
 そのような経験もあったので、以前、刑務所のある自治体の議員に、市立図書館の本を受刑者に貸し出す仕組みをつくれないかと相談しましたが、なかなか実現しませんでした。
 刑務所にも自治体の移動図書館が行くようになれば、受刑者ももっと新しい本を読むことができるようになります。そのような仕組みもあってもいいのではないかと思います。


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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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