名古屋刑務所事件の判決から その1
先月25日に、名古屋刑務所受刑者死傷事件(いわゆる名古屋刑務所事件)の国家賠償訴訟判決が出されました。
名古屋地裁で、虐待を訴えていた元受刑者らが勝訴したのです。
名古屋刑務所事件は、その事実が公表された当時は連日のようにテレビで報道されたので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
簡潔にお伝えすると、2001~02年にかけて、名古屋刑務所内で、複数の受刑者が刑務官から革手錠や高圧放水ホースなどを使って虐待を受け、死亡したり大怪我を負ったりした事件です。
※革手錠とは、両手を輪に入れて腰の部分にベルトで固定をする拘束具。この事件をきっかけに使用禁止になりました。
この事件、私は非常に思い入れがあります。
私が監獄人権センターの事務局スタッフとして本格的に活動をし始めたのは2002年の夏でしたが、その年の秋、10月に、名古屋矯正管区が名古屋刑務所で受刑者が死傷したことを公表し、この事件が明らかになったのです。
※矯正管区(きょうせいかんく)とは、法務省矯正局の所掌事務を分掌し、刑事施設及び少年施設の適切な管理運営を図るために設けられている地方支分部局。全国8つの管轄区域に分けられています。
監獄人権センターは、名古屋刑務所事件が発覚するずっと前から、革手錠の危険性や革手錠が国際準則違反であることを主張し続けていました。
そのため、名古屋刑務所事件が発覚してからの動きも迅速でした。監獄人権センターが問題点を指摘する文書をすぐに公表したところ、全国から多くのメディアが監獄人権センターを取材に訪れました。
また、当時、監獄人権センターでは、府中刑務所で革手錠による虐待を受けたという受刑者の問題を取り上げており、所属弁護士が国賠訴訟(国家賠償訴訟)の資料として自費で革手錠の模型を製作し、所有していました。この模型は、法務省の文書に書かれている仕様で製作されたもので、かなり本物に近いものでした。模型とはいえ、本物に近い革手錠は、日本中探してもなかなか手に入るものではありません。
メディア対応に追われる日々、、、このようにして連日のように監獄人権センターの主張とともに革手錠の写真がメディアに掲載され、監獄人権センターの名前も全国に知れ渡ることになったのです。
その直後に、出所してニュースで監獄人権センターを知った被害者Aさん(名古屋刑務所で革手錠による虐待を受けた元受刑者)から電話がかかってきました。
電話を受けた私は、「これは、大変なことになっているのではないか」、「名古屋刑務所が公表している被害者は2人だが、他にも被害者はいるのではないか」と思い、大急ぎで弁護士や他のスタッフに連絡をしました。
そして、弁護士と一緒にAさんとお会いし、その身に起こったことを詳しく聞き取ったのです。Aさんは、友人に付き添われて恐る恐る話をされていましたが、これも虐待の影響によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)からくるものだったようです。
現在では、Aさんと7年以上の付き合いになります。これは後から聞いた話ですが、Aさんは、当時よく打合せをしていた弁護士事務所の1階のタイル張りの床が苦手だとおっしゃられていました。
1階のホールは、よく音が響くようになっているため、女性のヒールがコツコツと床に当たる音が、刑務所の中で刑務官が自分の房に近づいてくる音に聞こえ、「また革手錠を締められるのではないか」という恐怖感が込み上げてくると・・・。
また、鍵がジャラジャラする音も、刑務官が自分の房の鍵を開ける音を連想させるので怖いともおっしゃっていました。
コメント
やりすぎ、、行き過ぎ
革手錠事件の2年前にも革手錠によって急性腎不全で血尿が出た人がいました。
この時に一部では「やりすぎ、いつか死ぬぞ」と言っていました。
他にも過酷な作業の下、熱中症で意識がなくなり呂律障害が残った人もいました。
私は名古屋刑務所に長い事服役した者です。放水事件の職員たちもよく知っています。
放水した職員は元消防職員で確か空手を嗜んでいたはずです。歩く姿は凄いものです。肩を怒らせて歩くので受刑者の間では「だいぶ被れているな」と噂したものです。
この事件のお陰で至る所の刑務所で不正や事件が明るみになりましたが、まだまだ刑務所の中で行われている不正や事件というものはいくらでもあります。
先ず一つに刑務所の用度課長をやると蔵が建つと言われています。刑務所の日用品やその他の雑貨等は用度課が仕入れるからそこに利権が発生するのです。
また印刷工場で使用しているパソコン用ソフトは以前はほとんどコピーして使用していました。本来パソコン一台にソフトは一つが法律では義務付けられている筈です。ところが刑務所ではそれをコピーして使用するのです。それを編み出したのは受刑者で使用したのは技官なのです。それがとても簡単な技なのです。
また受刑者を利用して工場担当の個人的な仕事も受刑者がやるのです。個人の名刺や行きつけの店の名刺やチラシ等そんなものは工場の余り紙でいくらでも印刷できます。工場で怪我などするとどうなると思いますか。
普通で考えると先ず医務に連れていくと思うが、刑務所では違います。真っ先に連行されるのは取調室です。先ずは、自認書に自分が悪い事をしたと認めさせてから医務に連れて行くのです。
私が目撃したので一番最悪だったのが、断裁機で指を落とした受刑者を職員の机の側に立たせたまま上級職員に「総員何名以上ありません」と報告したときです。それでも連れていくのは先ず取調室です。片腕を落とすくらいでないと直接医務には連れて行きません。
職員は機械や職員の指導不足で怪我をさせたとなると責任問題になるので先ず受刑者に責任を取らせるのです。それから国から刑務所に支給される予算も年末になると受刑者を利用して処分するのです。予算が余れば年末の購入や家族への送金は賞与金から強制的に使用させるのです。予算が足りない時は年末になると賞与金の使用を止め、領知金を使用させるのです。領知金や賞与金など使用を廻ってもトラブルは尽きないのです。
それから名古屋刑務所では情願や請願等も無断に開封して証拠隠滅を図ったこともあります。情願や請願をどんなに封印しても逆は封印されていないので開封するのは容易いことです。
知人が現在名古屋刑務所にいます。懲罰中に虐待されたり違法なことをされています。すぐにでも名古屋刑務所側を訴えたいと考えています。訴訟に携わった弁護士を教えてください。
このブログにも連絡先が掲載されておりますが、NPO法人監獄人権センターへお問い合わせいただくのが確実かと思います。
以下、監獄人権センターのHPからの転用です。
↓
相談の問い合わせ先
監獄人権センター
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電話・FAX: 03-5379-5055
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