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秋山映美の「監獄から社会へ」

ニューヨークに行ってきました その2

 前回このブログで書いたとおり、NPT(核拡散防止条約)再検討会議にあわせてニューヨークに行ってきましたが、今回は、その中でNGOがどのような動きをしていたのかなどお伝えしたいと思います。

 NPT再検討会議は、1週目の各国政府代表のスピーチが終わると、翌週からは3つの委員会に分かれ、各国の外交官がそれぞれの委員会で、核軍縮をどのように進めていくのか、NPT再検討会議における合意文書の内容をどのようなものにするのかなどを話し合います。
 そこで、NGOは、具体的に協議を進める外交官に対して「私たち市民社会はこのように考えていますよ」ということを伝え、合意文書の中に市民社会の意見を反映してもらうように働きかけるのです。

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 ニューヨークにオフィスを構えているReaching Critical WillというNGOが、毎朝、各国政府の外交官を招いて意見交換会を開催していたので傍聴しました。
 招かれた外交官が、その国の核軍縮政策について説明をし、それに対して、参加しているNGOが質問をします。このミーティングは政策提言をするNGOにとっては非常に大切な場です。
 アメリカ政府代表が参加していた日もありました。アメリカは「核兵器に関する情報を今後開示していく」との政府方針を発表したばかりで、ミーティングでもそのことに対して質問が相次ぎ、大変注目されていました。

 そのほか、日本の広島市長が代表、長崎市長が副代表をつとめている「平和市長会議」主催のシンポジウムも傍聴しました。
 基調講演をされたのは潘基文(パン・ギムン)国連事務総長で、2008年10月に公表した核廃絶に向けた5つの提言をあらためて紹介していました。そして、「広島平和記念公園に行くのが私の責任だ」とも発言されていました。
 日本の広島市長、長崎市長やフランスの地方都市の市長など、世界各国の市長が核廃絶に向けてどのように取り組むべきかということを話されていました。
 「平和市長会議」は、世界の都市が緊密な連携を築くことによって、核兵器廃絶の市民意識を国際的な規模で喚起し、核兵器廃絶を実現させることなど目的に活動をしているNGOです。私たち市民にとって、一番身近な行政単位である市町村の首長こそ、民意を直接反映することができるのです。

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 また、私が会員になっているピースデポが韓国のNGOとともに日韓非核地帯に関するフォーラムを開催したので、私も参加しました。今、世界には5つの非核地帯条約があります。詳細は外務省のウェブサイトをご覧ください。
 非核地帯条約というのは、条約に参加している国には核兵器は持ち込まない、その地域への核攻撃を禁止する、といった内容の条約です。
 現実にはまだ世界に核兵器はあるけれども、「私たちの国の領域では核兵器を使用することも持ち込むことも認めません」と多くの国が条約を結んで約束をすれば、核兵器をゼロにできる日もぐっと近づくのです。

 日本政府も、韓国政府も、北朝鮮が核兵器を放棄しないと話が始まらないと主張していますが、北朝鮮は、日本も韓国も、アメリカの核の傘にまもられているので、自分たちが核武装する必要があると主張し、ずっと議論が平行線のままです。
 ピースデポやその他のNGOは、日韓の国会議員にこの状況を打開するための提案をしています。

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 7日の午後からは、NGOプレゼンテーションが行われました。世界各国のNGOの核兵器廃絶の提言があり、日本からは被爆者の代表者がスピーチされていました。
 証言をした谷口さんは、16歳の時に爆心地から2キロほどのところで被爆し、背中に大やけどを負い、動けるようになるまで何ヶ月もの間苦しい思いをして、何度も「いっそのこと殺してくれ」とお願いしたそうです。
 「自分が生きている限りは、どこにでも出かけていき、生きているうちに核廃絶を実現したい」と強いメッセージを投げかけられました。
 そのほか、ドイツの学生の平和活動NGOが、15歳から25歳くらいの若い人たちの核兵器廃絶の想いを発表していました。

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 本日、28日がNPT再検討会議の最終日です。近々最終合意文書が公表されるのではないでしょうか。25日から合意文書のドラフトが提案され、締約国の代表者がそれぞれの国の立場を反映させようと、喧々諤々と議論を戦わせているのです。
 核保有国やこれから保有したい国と核兵器をなくすために頑張っている国との間の溝はなかなか深いのですが、NGOも、核廃絶に向かって一歩でも進んだ合意文書になるように、最後まで提言を出し続けています。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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