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秋山映美の「監獄から社会へ」

自由がないということ・・・体調を崩したら

 少し前に風邪をひいてしまい、ここ2回ブログの更新が遅れてしまいました。
 咳が出て苦しんでいたのですが、なかなか治らないので先週病院に行ってきまして、やっと少し良くなってきたところです。
 私は、自分が具合悪くなるたびに、受刑者は刑務所の中で病気になったら大変だろうなと考えています。今回もそのことを考えました。

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 私たちの場合は、「ちょっと風邪気味かな?」と思ったら、薬局で薬を買って飲んだり、病院に行ったりできます。そして、病院で納得のいく診察や治療が受けられなければ、病院を変えるということができます。
 要するに、基本的には自分の病気を治す方法は自分で選ぶことができます。

 しかし、刑務所の中にいるとそうはいきません。診察を受けられる日は限られているため、急に具合が悪くなっても、すぐに診察や治療を受けることが難しい状況があります。そのため、受刑者は腹痛や頭痛に敏感になってしまい、不安を感じてしまうことも良くあるようです。
 受刑者の体調には気持ちの問題が大きく影響していて、重大な病気でなくても、ちょっと体調を崩すと不安に思ってしまい、気にすることでよけいに具合が悪くなってしまう、精神的に具合が悪くなってしまうという人もいます。
 また、受刑者からの手紙を読んでいると、医療面で受刑者に与えられる情報は限られているということを感じます。もしかしたらインフォームドコンセントがちゃんとなされていなくて、お医者さんとうまくいっていないのでは?と思うようなときもあります。
 それでも、刑務所のお医者さんに診てもらっても治らないからといって、簡単にお医者さんを変えることはできません。基本的にはそのお医者さんに診てもらうしかありません。

 また、刑務所にはすべての診療科のお医者さんがそろっているわけではないので、専門とは違うお医者さんに診てもらったことで、病気を見落とされてしまい、悪化してしまうという相談もあります。
 以前、このブログでも病気になったらどうするのかということを書きましたが、刑務所の外の病院にもなかなか連れて行ってもらえないのが現状です。

 少し前に友人が入院して手術をしたのですが、入院しているあいだは基本的には病院の敷地から出てはいけなかったので、大変辛かったと言っていました。
 彼女は、「テレビも見ることができて、昼間の時間は好きなことができるのに、それでもここから出てはいけませんといわれることはとても苦痛だった。これよりもっと自由のない受刑者は本当に辛いだろうなとしみじみと思った」と感想を述べていました。

 私自身は入院した経験もないので、なかなか実感できませんが、自由がないというのは、想像以上に大変なことだろうと思います。



※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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