刑務所内での仕事
今回は、刑務所内での仕事、つまり、懲役刑の受刑者が刑務所の中で行う作業について紹介します。
日本の刑罰には、刑務所の中で作業が義務づけられている懲役刑と、作業が義務付けられていない禁固刑があり、そのほか死刑や罰金刑などがあります。
懲役刑の受刑者が刑務所の中で行う作業は刑務作業と呼ばれ、禁固刑の人も願い出ることによって刑務作業を行うことができます。
仕事の内容としては、何か物を作ったり、下請け作業を行う「生産作業」、掃除や食事の準備、洗濯などの刑務所内の仕事を行う「自営作業」があり、そのほか、自動車の整備士やヘルパー、建設機器などの資格取得を目指す「職業訓練」も刑務作業として位置づけられています。
「生産作業」の種類には、木工、印刷、洋裁、金属、革工、農業などがあります。そのほか、各施設の職員が、近隣の企業などから作業を探して引き受けているようで、その土地の産業に関係のある作業が行われています。
たとえば、東海地域の刑務所へ見学に行ったときには、自動車産業が盛んな地域だったため、ある企業の自動車工場で作業する人たちが着るつなぎを洋裁工場で製作していたり、車の部品やボルトなどを袋詰めする作業を行っていたりしました。
最近はよく知られるようになりましたが、刑務所で作られた製品は一般販売されています。刑務作業のブランドは「CAPIC」といって、各地の刑務所に併設されている売店や、各刑務所で外部向けに開催される矯正展、1年に1回東京で開催される全国矯正展で購入することができます。ネットショップもあります。
岡山刑務所の備前焼きの茶碗や湯のみ、市原刑務所の味噌やしょうゆ、横須賀刑務所の洗濯用石けん、最近では、函館少年刑務所のマル獄印のエプロン(酒屋のエプロンのようなもの)、巾着、ブックカバーなどが有名です。
函館刑務所のマル獄グッズは、インターネットでも話題になって生産が間に合わなくなり、最近では、宮城刑務所でも製作していると売店の方に教えてもらいました。
そのほか、東北地方の箪笥や小物入れ、ヒノキのまな板、男性用の靴など、本当にさまざまな物が販売されています。
このように、「生産作業」といっても、外部企業の下請け作業とCAPICブランドとして販売する製品を作る作業とがあります。
刑務作業を行うと作業報奨金(賃金、給与ではありません)をもらうことができるのですが、最低金額は1時間当たり5円90銭、最高金額に昇給すると41円90銭になります。
最低金額の場合、1日8時間で月20日間働いたとしても1000円弱の収入です。また、最高金額で同じ時間・日数働いても月に6700円程度の収入にしかなりません。
作業報奨金は原則として刑務所内では使うことができないのですが、報奨金以外の現金をもっていない場合は、全額ではなく一定範囲内で報奨金を使って日用品などを購入することができます。
受刑者によっては、この報奨金のなかから被害者への弁償を行っている人もいます。
一般的な賃金に比べて作業報奨金の金額がとても少ないので、5~6年服役して出所しても、すぐに仕事を見つけることができないと、手持ちのお金がすぐに底をついてしまいます。結局また何らかの犯罪にかかわってしまい、刑務所に戻ってきてしまうということもよくあるのです。
報奨金の金額を上げるだけでは解決にならないのですが、この負のスパイラル、何とかならないものかといつも考えています。
コメント
初めまして。突然メールを入れましてすみません。
実は、今日日本テレビの深いい話という番組の中で
受刑者の方が作った商品を東京の中野で売っていると
放送されてたのですがお店の名前をメモる事が出来ず
検索をかけても分からなくて秋山サンのブログにたどり着いて読んでみてもしかしたらご存知かと思いメールを
入れさせて貰いました。もし、お分かりでしたら
教えて頂けたら嬉しいです。
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