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秋山映美の「監獄から社会へ」

グアンタナモ基地の収容所 その2

 先週ご紹介したように、グアンタナモにある軍の収容施設や刑務所など、密室であったり、外部との交流があまり行われない場所では、その性質上、拷問行為がおこなわれやすいのです。
 このような拷問の性質を踏まえて、国連は1984年に拷問等禁止条約(拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は刑罰に関する条約)を採択しました。

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 拷問等禁止条約は、単に肉体的な拷問を禁止するだけでなく、拷問にはいたらずとも非人道的な取り扱いをすることを禁止しています。この条約では「拷問」をある目的を達成するために肉体的・精神的に苦痛を与えることと定義していて、この条約を批准した国は、拷問を防止する義務を負い、いかなる例外的な事態であっても拷問を行うことが禁じられています。この条約を批准すると、その国は定期的に条約のもとに設置された拷問禁止委員会に報告書を提出しなくてはなりません。

 アメリカもこの条約を批准していて、2006年に拷問禁止委員会の審査がありました。審査の中で、委員から「アメリカ軍が基地の中で行っている尋問は拷問ではないか」との質問がなされましたが、アメリカ政府は、「拷問」を独自の解釈で定義し、グアンタナモなどの基地の中で軍やCIAが行った行為は「拷問」にあたらないと答えました。しかし、先週紹介したようにグアンタナモに収容されていたムラトさんたちは水責めや手足をつるされ、尋問を受けていたのです。
 この審査に関しては、たくさんのアメリカのNGOが委員会にNGOレポートを提出し、審査にも参加していました。委員会はアムネスティなど信頼できるNGOからの情報提供も参考にして、戦時下では拷問禁止条約が適用されないと主張するアメリカ政府に対し、いかなるとき、いかなる場所でもこの条約を適用することや、グアンタナモの基地にある収容施設を閉鎖することなどを勧告しました。
 アメリカの審査の様子については、監獄人権センターニュースレター第46号で紹介しています。また、拷問等禁止条約の各国の審査については、国際連合人権高等弁務官事務所のホームページを参考にしてみてください。

 アムネスティ・インターナショナル日本が『グアンタナモ収容所で何が起きているのか 暴かれるアメリカの「反テロ」戦争』という本を出版していますので、こちらもご参照ください。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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