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秋山映美の「監獄から社会へ」

「受刑者が歌って踊る」

 10月24日付の朝日新聞夕刊に、このようなタイトルの記事がありました。
 ベルギー中部の町のフェスティバルの目玉行事として、刑務所の講堂でミュージカルが上演されたそうです。刑務所で作詞や音楽のワークショップを担当している職員が企画して、受刑中の音楽家たちと制作したとのこと。作品は有料で一般公開され、公演はすべて満席だったそうです。

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 この記事を見て、双数姉妹という劇団が昨年4月に上演していた「やや無情 LES PETITS MISERABLE」を思い出しました。
 受刑者の改善更生のために、劇団員を講師として招いて刑務所の中で演劇のレッスンを行うという内容のお芝居です。
 劇中に出てくる演劇は、受刑者が出所して社会復帰をするという内容ですが、その劇を練習している受刑者や刑務官たちは、劇中の登場人物に自分を重ね合わせ様々なことを考えるようになるのです。
 更生のための演劇のレッスンにはロールプレイングの手法が取り入れられており、誰か専門家がアドバイスしているのではないかと思うくらい受刑者の心理的な面も良く描かれていました。

 途中、出所した元受刑者が、親切にしてくれた会社の社長室にある物を盗んでしまうのですが、社長は、「自分があげたものだ」とその元受刑者をかばうというシーンがありました。レ・ミゼラブルでも、こんなシーンがありましたね。タイトルもそうですが、レ・ミゼラブルへのオマージュでしょうか。

 10月2日のブログでは、イギリスでホームレス支援をしているストリートワイズ・オペラの活動を紹介しましたが、生き辛さを感じていたり、挫折や失敗の体験をしているという点では、受刑者もホームレスの人たちと同じです。
 ストリートワイズ・オペラの代表マットさんは、ホームレスの人たちは、芸術に触れ、作品作りに取り組むことで、自分を肯定するようになり、社会で自信を持って生きていくことができるようになるとおっしゃられていました。

 薬物離脱のプログラムや職業訓練だけでなく、ミュージカルのようなアートのワークショップなど、さまざまな選択肢の中から、それぞれの受刑者に合った方法で、受刑者の社会復帰を支援できるようなプログラムを取り入れるのも良いのではないかと思いました。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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