受刑者との文通
監獄人権センターでは、受刑者からの相談にアドバイスする活動のほかに、ボランティアと被拘禁者(受刑者と裁判中の人)との文通を仲介するシェイク・ハンズ・プロジェクトを実施しています。トラブル防止のため、必ず監獄人権センターを通して文通をしてもらっているのですが、参加者であるボランティア、被拘禁者ともにとても楽しんでいただいているようです。
シェイク・ハンズ・プロジェクトは、18歳以上で、参加の規則を守ることに同意した方であれば誰でも参加することができます。詳細については、監獄人権センターへお問い合わせいただければ、後日案内書類などをお送りいたします。
現在では、刑務所にいる受刑者は、友人、知人とも文通ができるようになっていますが、2006年に受刑者処遇法(現在は、2007年に改正され刑事被収容者処遇法となった)が施行されるまでは、弁護士には特別に発信できましたが、受刑者の文通相手は原則親族に限られていました。
ですので、以前は、「監獄人権センター宛」では手紙を出すことができませんでした。当時、受刑者には「監獄人権センター所属の弁護士宛」に手紙を出してもらっていたのです。
受刑者が手紙を出すことのできる回数については、「刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる」とされていますが、1か月4回を下回る制限はしてはいけないことになっています。つまり、1か月に最低4通は発信できるということです。
法律では、手紙の内容は「刑事施設の長は、刑事施設の規律及び秩序の維持、受刑者の矯正処遇の適切な実施その他の理由により必要があると認める場合には、その指名する職員に、受刑者が発受する信書について、検査を行わせることができる。」(刑事被収容者処遇法127条)とありますが、少なくとも監獄人権センターに送られてくる手紙はほとんどが検閲されているのではないかと思います。
検閲を受けた手紙には施設ごとに異なるハンコが押されています。二重丸や桜のマークなど様々なバリエーションがあるようです。
私も数人の受刑者と文通をしたことがあります。その季節に合わせた絵葉書や出張に行ったときには出張先の名所の絵葉書などに、日常的な出来事や話題になっていることなどを書いていました。
たとえば、「大阪に仕事で出かけ、こんなところに行ってきました」とか、「今、街ではこのような花が咲いています」というような本当に簡単な内容の手紙でしたが、受刑者の方々にはとても喜んでいただきました。
時には、感謝の手紙をもらうこともあります。
私からの手紙に励まされたとおっしゃって「今までは、自分の気持ちを優先させてばかりいたけど、周りの支えてくれる人に成長した自分を見てもらうために頑張り、無事故(刑務所の中で違反行為を行わなかったこと)で仮出所することが決まりました」というような手紙を受け取ったときには、こちらまでうれしくなりました。
インターネットが普及しているこのご時勢に、手紙を書いて、切手を貼って受刑者に送るという非常にアナログな作業ですが、このような受刑者の声を直接聞くことができるのです。
コメント
ぼくも死刑囚や有期刑囚の人たちと文通していたことがあります。面会に行ったこともあります。死刑執行が発表されるたびに、知り合いが執行されていないか、どきどきします。
文通していて失敗したことで、獄中者は圧倒的に情報が少ないということで、送った手紙でトラブルを引き起こして、獄中者に不信感が生まれると、ほとんど取り返しがつかないこともありました。
こちらは社会とつながっているのですが、獄中者にとっては手紙は社会との窓のようなもので、慎重に言葉を選んで交流すべきだったと、今では反省しています。
手紙のやりとりというのは、表情も見えないし、言葉のトーンも伝わらないので、本当に難しいものです。
毎月たくさんの受刑者への返信を書いていると、ついつい必要事項のみ最小限の手紙になってしまうこともありました。
書いた手紙を読み返してはちょっと事務的すぎたかなと思い、次の返事はもう少し丁寧に書いたりということの繰り返しでした。
以前の新聞の気になった記事(読売新聞・罪と罰・更生への道7)が、整理してたら出てきて、読み返しているうちに、自分自身の事も振り返って、コメントしたくなりました。
ちょうど、3年半前に、私も府中刑務所を満期出所して、当初は本当に困りました。
ただ、私の場合、御袋を無くしましたから、気持ちの上でも、それが一番の箍になったと思います。少年院3回・刑務所7回と普通じゃ無い人生でしたが、50歳にてやっとまともな事が出来る様になりました。当然、私一人の力では無く、回りの色々な方たちの御蔭様と本当に感謝しています。
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