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秋山映美の「監獄から社会へ」

出所者の生活保護申請について

 先日、出所者の生活保護申請手続きの支援をされたという小竹広子弁護士にインタビューを行いました。今回は、その話をお伝えしたいと思います。
 小竹弁護士の報告は、監獄人権センターのニュースレター第59号にも掲載されています。

 元受刑者のSさんは、50代後半の男性。出所して1週間ほど経ってから、小竹弁護士の法律事務所に相談に来ました。

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 Sさんは、受刑中に心臓に先天性の奇形があることがわかったのですが、刑期中は頼んでも手術を受けさせてはもらえず、刑務所は対症療法の薬を出すだけだったとのことです。
 出所後Sさんは、心臓が悪くて働けないので、生活保護を受けて東京の病院で手術を受けようと思い、希望する病院のある東京23区内の福祉事務所に行きました。
 ところが、Sさんは出所のときに渡される刑務作業の報奨金を8万円程持っていたため、お金がなくなってから来るようにと追い返されてしまったというのです。

 相談後は、福祉事務所の休日なども重なったため、Sさんには2~3日の間、安めの宿泊施設に泊まってもらうことにし、後日生活保護を申請しに行くことになりました。
 最低生活費より所持金が多いと、保護申請を受け付けてもらえないので、ある程度所持金を減らす必要もあったのです。
 そして、この間に、保証人不要で生活保護を受給しながら住むことができる賃貸物件の情報を、不動産会社からいくつか取り寄せ、Sさんが下見をして、あらかじめ部屋を見つけておいたそうです。

 どこの自治体も財政状況が厳しいのでしょうが、住むところも仕事もなく、わずか8万円しか持っていない人でも生活保護が受けられないとなると、どのように生きていったらよいのか…。
 まして、心臓の病気を持っているSさんのような場合、簡単に仕事を見つけることもできません。私も同じ状況になったら悲観してしまうかもしれません。
 残念ながら、このようなことはよくあるようで、所持金が43円でも生活保護申請を受理してもらえなかった人もいるとのことです。

 Sさんは、あらためて小竹弁護士とともに別の区の福祉事務所に生活保護申請に行き、刑務所から出てきたことや、心臓に病気を患っていて働けないので保護を申請したいことを伝えましたが、最初はなかなか受理してもらえなかったとのことです。
 Sさんは、料理など身の回りのことなども自分でできるため、居宅保護を希望していました。入院するとしてもそれほど入院期間が長くないことや、生活の本拠を定めて安定した生活を送る必要があることを主張すると、やっと担当者が居宅保護の申請を受け付けてくれたそうです。
 決定までの2週間は宿所提供施設に入ることになりました。申請からちょうど2週間後に、保護開始の決定が下り、Sさんは、事前に見つけておいたアパートに入居し、寝具等も購入して、新生活を始めました。

 その後、Sさんから、小竹弁護士のもとに、「検査入院が決まり、心臓の手術を受けられそうだ」と、嬉しい便りが届いたとのことです。


コメント


 今の生活保護もあり方を見直してもらいたい。一度もらうと働いている人より贅沢な生活をしている現状に。
 本当に保護が必要な人が保護を受けれない、働いている人がお金がなくて病院に行けないで居るのにタクシーでたいしたことがなく病院に行く日中たばこをすいながらパチンコをしている。
 保護としてお金を与えるのではなく仕事を与えるべき、病気で仕事が出来ないのであれば、病気をなをしながら出来る範囲で仕事をしてもらうべきである。
 仕事がないから生活保護でなく病気でも仕事が出来るように、働きざる物食うべからずと言う言葉をもう一度見直すべきである。


投稿者: みっちゃん | 2009年08月17日 16:00

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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