ミュージカル ウィキッド~WICKED~
劇団四季のミュージカル、ウィキッドを観てきました。
ウィキッドは、「オズの魔法使い」のお話の中でドロシーがやっつけてしまう西の悪い魔女が、どうして悪い魔女になったのかというお話です。
原作は、1995年のグレゴリー・マグワイアの「オズの魔女記」。2003年に原作をアレンジしてブロードウェイで上演されました。
刑務所や受刑者に直接関係ある話ではないのですが、いろいろと考えさせられるお話なので紹介します。
オズの国、魔法使いと聞くと、幻想的で華やかなストーリーのように感じるかもしれませんが、ウィキッドでは現代にも通じる様々な社会的な問題が語られているのです。
ここからは、少し内容にふれるので、これから鑑賞予定の方は、お気をつけください。
「善い魔女」グリンダと「西の悪い魔女」エルファバは、大学の同級生で、親友でした。エルファバは、生まれつき緑色の肌でみんなからは奇異な目で見られていました。大学の友人とも最初は対立し、孤立していましたが、次第にグリンダと仲良くなります。
オズの国では人間だけでなく、動物も言葉をしゃべり、大学には動物特別雇用枠というのがあって教員として教えています。
あるとき、エルファバとグリンダはオズの魔法使いに会いに行くのですが、彼が魔法使いではなくただの人であることを知ります。さらに、今まで仲良くしていた賢い動物から言葉や自由を奪って統治していることを知ります。
そこで、「おかしい!」と言ったエルファバが、なんと、オズの魔法使い達の陰謀で、悪い魔女にしたてあげられてしまうのです。
オズの国では、経済状況が悪化していて、市民の気を逸らし、国をまとめるために、仮想の敵を作りあげたのです。エルファバは、肌の色が緑色で、みんなと違うため、「敵」にしたてやすかったのでしょう。
不況になったり、政府に対する信頼度が低くなると、カリスマリーダーがあらわれ、仮想の敵を作り攻撃することで国をまとめようとするのはいつの時代も、どこの国でもありうることです。
同様に、社会を震撼させる事件や不可解な事件が起こったときにも、早く安心したいがために、少々無理してでも「犯人」を捕まえてしまいます。
しかし、足利事件のように、十年以上たって、やっぱり「犯人」ではなかった、ということが明らかになることもあります。
このような不幸なことがおこらないようにするためにも、私たちは与えられた情報をそのまま受け入れるだけではなく、ちょっと立ち止まって、疑問に思うことは調べて、自分の頭で良く考える必要があると感じました。
ウィキッドは、二人の友情や成長も描かれていて、泣ける話あり、クスッと笑える話もありとても楽しめるものです。
ストーリーだけでなく、音楽もとても素敵です。グリンダはその明るいキャラクターのように、明るく素敵に、時にはオペラのように歌っています。エルファバは「誰にも負けない」という少々勝ち気なキャラクターで、力強く圧倒的な歌唱力でした。
9月まで上演しているようですので、気になった方はぜひご覧ください。
お知らせ
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http://www.jca.apc.org/cpr/2009/09summer_fryer.pdf
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