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秋山映美の「監獄から社会へ」

喜連川社会復帰促進センターを訪ねて その1

 皆さん、「社会復帰促進センター」をご存知でしょうか?
 社会復帰促進センターは、PFI方式の刑務所です。PFIとはPrivate Finance Initiativeの略で、公共施設の建設や維持管理、運営などを民間の資金やノウハウを活用して行う手法のことです。
 私は、1年ほど前に喜連川社会復帰促進センターを見学する機会がありました。

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 喜連川社会復帰促進センターは、2007年10月に収容を開始したばかりで、定員2000人のところ、当時は1757人しか収容されておらず、まだ使用されていない舎房を奥の方まで見学することができました。

 社会復帰促進センターでは「構造改革特区制度」を利用して、従来民間に委託できなかった業務、具体的には権力性の弱い業務を民間に委託して官民協働で運営しています。
 日本には、現在「美祢社会復帰促進センター」(山口県)、「喜連川社会復帰促進センター」(栃木県)、「播磨社会復帰促進センター」(兵庫県)、「島根あさひ社会復帰促進センター」(島根健)の4つのPFI刑務所があります。
 美祢と喜連川はセコムグループに、播磨と島根あさひは大林組・ALSOKグループに、運営の一部が委託されています。
 喜連川社会復帰支援センターのホームページには、さまざまな情報が掲載されていますので、併せてそちらもご覧ください。
http://www.kitsuregawa-center.go.jp/index.html

 見学当日は、一通り説明を受けた後に施設内を見学しました。
 喜連川社会復帰促進センターでは刑務官は全員名札を付けていると聞きましたが、これはほかの刑務所と比較すると非常に珍しいことです。一般的に、刑務官は受刑者に自分の名前を教えることはありませんので。

 受刑者は4つの棟に分かれて収容されるようで、そのうちの1棟が、身体や精神に疾患を持っている受刑者を収容する「特化ユニット」でした(各棟500人の収容が可能)。
 特化ユニットには、居室にベッドや単独運動場が併設されていました。そのほか、車いす用の浴槽が2つ、散歩用の中庭、ファスナー付の衣服が用意されていました。

 特化ユニット以外の居室は単独室が全部で1276、そのほか724名分は、4人もしくは6人の共同室となっていて、府中刑務所などの国が運営している刑務所の居室と大きな違いはありませんでした。
 制限区分第3種用の共同室には、靴を履いたまま生活する床張りの4人部屋があり、そこには2段ベッド2つと、机と椅子が4つ備え付けられていました。
 また、2種用の単独室エリアは、各個室に鍵がかけられるわけではなく、そのエリアの入り口が施錠されるだけで、エリア内は受刑者が自由に動くことができ、共同スペースが確保されていました。トイレや洗面台も共同スペースにありました。

※受刑者は、第1種~第4種の制限区分に分けられていて、簡単に言うと、4種が最も制限がきつく、独居処遇で、3種、2種、1種となるほど開放度が高くなります。現在、3種の受刑者が1番多く、1種の受刑者はほとんどいないようです。

 4つの収容棟はそれぞれX型に建設され、交差した真中にガラス張りの監視室がありました。受刑者が担当刑務官に用事がある場合は、部屋の中のボタンを押して報知機を鳴らし、監視室の刑務官が受話器を取って内容を聞くというシステムになっていました。ちょうどナースコールのようなイメージです。

 今回は、見学したときの様子の紹介のみになってしまいましたが、感想などは次回以降に記します。


※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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