はじめまして
本日から、ブログをはじめる秋山です。最初は、私が働く監獄人権センターの紹介からさせていただきます。
監獄人権センターは、日本の刑事施設の人権状況を国際水準に合致するよう改善することを目指して1995年に結成されたNPOです。刑務所などに収容されている人の支援や制度を改善するための政策提言などを行っています。
現在、監獄人権センターには、受刑者やその家族、友人などから毎月200件ほどの相談が寄せられています。その内容は、刑務官とのトラブル、具合が悪いときにお医者さんになかなか診察してもらえない、施設内で暴行を受けた、など様々です。
監獄人権センターではこのような相談に対してアドバイスを行っています。
これらの相談の中でも、制度そのものに問題があって私たちの力では解決できない場合は、受刑者に関する国際人権基準に沿うように、制度改善のためのロビー活動を国内外で行っています。
2007年と2008年に、ジュネーブで受刑者に関する国連の条約の審査が行なわれたのですが、そこで、監獄人権センターはNGOレポートを作成して、審査が行われた委員会でロビー活動を行いました。
このほかにも、監獄人権センターでは、刑事施設に収容されている人とボランティアの文通を仲介するシェイク・ハンズ・プロジェクト、ニュースレターの発行、セミナーやボランティア養成講座も開催しています。
監獄人権センターで働いていると、よく「監獄人権センターはなぜ悪いことをした人を支援しているのですか」と聞かれます。
なぜでしょうか?
それは、「人権」は誰にでも保障されている権利であり、人権が保障されていないと受刑者は次のステップへと一歩を踏み出すことができないからです。
多くの受刑者は、いずれ社会へ戻ってきます。そのことを見据えて私たちは、一人でも多くの受刑者がスムーズに社会復帰できるように、そして、社会の一員として誇りを持って生きることができるようにお手伝いをしているのです。
このブログでは、受刑者たちがどのようなことで困っているのか、どのような問題を抱えているのか、そして、刑事施設に関する情報、またそこから私が感じたことを皆さんにお伝えしていこうと思っています。
お知らせ
最後に、監獄人権センターからお知らせがあります。
監獄人権センターでは、アムネスティ・インターナショナル日本と共催で、5月16日に「貧困と監獄」をテーマにセミナーを開催いたします。
4人のパネリストをお招きして、貧困と社会的排除が原因となり起こる犯罪に対して厳罰化で対処するのではなく、福祉政策を充実させることでの解決、罪を犯した人たちが社会復帰できるような政策の実現に向けて討論をします。
事前申込は不要です。多くの皆様のご参加をお待ちしています。
「貧困と監獄 ~厳罰化を生むすべり台社会~」
【日時】5月16日(土)13:30~16:30
【場所】明治大学リバティタワー 1 階 1011 教室
(御茶ノ水駅、神保町駅徒歩5分)
【パネリスト】
湯浅誠さん(反貧困ネットワーク事務局長 派遣村村長)
浜井浩一さん(龍谷大学教授 刑事政策、犯罪学、統計学)
森千香子さん(南山大学准教授 都市社会学)
菊池恵介さん(東京経済大学ほか非常勤講師 哲学・思想史)
コーディネーター:海渡雄一(監獄人権センター副代表)
【参加費】800円
コメント
はじめまして。ここでブログ書いている、ムゲンという精神の作業所の佐野です。統合失調症です。以前死刑廃止運動もやっていました。監獄人権センターのパンフレットも読んでいました。獄中者と文通もしていました。
山本譲司さんの本には衝撃を受けました。おいおいそういう話題も書いてくれるものと期待しております。
はじめまして。
佐野さん同様に「けあサポ」でブログを書かかせてもらっています和田と申します。
興味本位で申し訳ないのですが、好きなテーマです。読ませていただきますね。
僕は刑務所の中で高齢になり認知症になっていく受刑者たちのことを、いつも思います。投獄されることは罪償いかもしれませんが、認知症などにより要介護になって放っておかれたとしたら、二重の罰になるのではないかと。
ただでさえ、認知症になれば要介護状態になれば国民としての権利を合法的?に抑圧されるこの国ですから、刑務所の中となると…
いろいろ教えてくださいね。
コメントをありがとうございます。
福祉の専門家の皆様に交じってのブログ連載、私自身は刑務所のことばかりでしたので、大変勉強になります。
福祉と矯正・保護の分野で一緒になにか取り組むことができるようになるといいですね。
はじめまして。ケアマネジャーをしております、makoと申します。夫が、秋山さんのブログを教えてくれました。
私の夢は司法ソーシャルワーカーとして生きて行く事です。手を差し伸べる人がいれば再犯を防げるのか… 絶望も希望も、その人の「心」が生み出すということを伝えて行きたいのです。
私自身が希望を失い、真っ暗闇に放り出された時に、ある方から「何があっても生きるんやで」と言って頂きました。心が救われ、我に返った瞬間でした。
人は一人では生きられません。
あなたを必要としている人間がここにいるのだから、あなたは一人ではないと、特別な何かをせずとも、存在するだけでいいのだからと伝えて行こうと思います。
社会福祉士である夫から「感情はコントロールできる」ことを学んでおります。これは書籍のタイトルにもなっています。
秋山さんとの出逢いに感謝いたします。これからも宜しくお願いいたします。
makoさん
コメントありがとうございます。
私たち監獄人権センターは小さな団体なのでできることが限られていますが、受刑者の皆さんに手紙を書いたり、ニュースレターを送ったりして、「あなたたちのことを見ている人がいますよ、考えている人がいますよ」と伝えることが重要だと思い日々お手紙に返事を書いているのです。
一人でも多くの方に、知ってもらい、一緒に考えていきたいと思っています。
はじめまして、別な方のブログで、初めて監獄人権センターさんの「シェイク・ハンズプロジェクト」を知りました。
私もボランティアさんの文通をしたいと思っているのですが、どうしたらできますか?
費用とかはかかりますか?教えていただけたら、ありがたいです。
シェイク・ハンズ・プロジェクトについては、監獄人権センター宛にメールでお問い合わせください。メールアドレスは、監獄人権センターのホームページに記載されています。
費用は、文通用の切手代を負担していただいております。
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